自己負担UPは誰?【年齢別】医療費の自己負担割合

2019-11-07

 高齢化社会は年金のみならず医療保険や介護保険のあり方にも影響を及ぼしている。医療費の自己負担アップもそのひとつ。ひとたび検討が始まればたちまちニュースになる社会にとって大事なテーマ。自己負担の今とこれからを見ていこう。

自己負担割合UPのニュースのちょっとした混乱。

 「自己負担UP」のニュースにびくっとする前に、それがどの保険・制度についてのトピックスなのか確認するようにしよう。考えられるのは「健康保険」「後期高齢者医療制度」「介護保険」のどれかだ。健康保険と後期高齢者医療制度は窓口負担という言葉が自己負担と同じ意味で使われることがある。介護保険では窓口負担とは言わない。また、介護保険は居宅サービスや介護予防サービスといった呼び方のとおりサービスが主な給付内容だ。ただし、サービスの中には療養上の世話に相当する部分があり、それらに対して支払った対価は医療費控除の対象となったりもするので、医療費と言えないこともない。

 このようにいろいろとややこしい保険・制度なのだが、ここではそれぞれの保険給付を受ける人はいったい誰なのか。給付を受けるときに自己負担をどれだけしているのか、に注意を払ってまとめてみたいと思う。年齢別にカテゴライズすると整理しやすい。

健康保険の自己負担(窓口負担)。

 健康保険はもっとも幅広い年齢で利用されている。これは国保でも健保でも共済組合でも同じだ。健康保険の自己負担割合がアップすることになったら影響される人が大半になるだろう。

0歳~小学校入学前2割を自己負担
小学校入学後~69歳まで3割を自己負担
70歳~74歳まで 2割を自己負担
※現役並み所得がある人は3割を自己負担

後期高齢者医療制度の自己負担(窓口負担)。

 後期高齢者医療制度は原則75歳以上の人が対象になる。健康保険から移行する形で後期高齢者医療制度に加入する仕組みなので、健康保険との重複はない。例外として65歳以上75歳未満でも障害認定を受けた人は後期高齢者医療制度に任意で加入することができる。自己負担は後期高齢者医療制度の方が軽い。

75歳以上
※65歳以上75歳未満の障害認定を受けた人
1割を自己負担
※現役並み所得がある人は3割を自己負担

介護保険の自己負担。

 介護保険の主たる給付対象は65歳以上だ。65歳以上で要介護認定された場合に限り介護保険を利用できることになる。介護が必要な状態と認定されていなければこの保険のお世話にはならない。40歳以上65歳未満でも老化に起因する特定16疾病にかかり介護認定を受けた場合に限り給付を受けることができる。

65歳以上原則1割を自己負担
※一定以上の所得がある人は2割を自己負担
※特に高い所得がある人は3割を自己負担
40歳以上65歳未満1割を自己負担

 介護保険は介護の度合いに応じて給付限度額があり、それを超えた分はすべて自己負担になる点が健康保険や後期高齢者医療制度と異なっている。

自己負担割合のUPが検討されているのは?

 3つの保険・制度の違いやその使われ方、自己負担割合が整理できただろうか。では、具体的に自己負担割合のアップが検討されているものをニュースソースをもとに確認していこう。

 まず、2019年11月1日の時事通信だ。

 医療費、自己負担増を-財務省提言

 ターゲットになったのは後期高齢者医療制度だ。現状は75歳以上の自己負担は1割。これを2割に引き上げようというもの。

 続いては介護保険の自己負担のニュースを見てみよう。2019年10月9日の毎日新聞だ。

 介護保険自己負担を2割に 財政審が改革案提示

 介護保険は原則1割が自己負担だ。所得によって2割、3割となることもあるが、現状は利用者の91%が1割自己負担の中にいる。これを2割に引き上げたい、と財務省は考えている。

自己負担UP=悪ではないが…。

 後期高齢者医療制度も介護保険も、もちろん健康保険も、高齢化社会が進む日本では決定的に財源が不足している。どうにかおカネを集めなければならい。それを保険料でやるのか、給付負担者の自己負担(窓口)負担でやるのか。あるいは両方でやるのか…。

 現段階でニュースとして取り上げられた医療費の自己負担UPについてはまだ検討段階なので、必ずしもこの案が採用されるとは限らない。引き続き注意をもって見守る必要はあるだろう。

執筆者紹介

鈴木玲
ファイナンシャルプランナー

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