転職したり、退職してからしばらくすると、以前に働いていた会社の源泉徴収票が必要になることがあります。通常であれば退職後にもらえるものですが、なかには源泉徴収票をもらっていない人もいるかもしれません。源泉徴収票をもらえないのは仕方がないことなのでしょうか。必要となったときに、どうやって手に入れることができるのかを説明します。
源泉徴収票がもらえないことに理由はある?
辞めた会社から源泉徴収票をもらえないのは、もらえない本人に落ち度があるのでしょうか。たとえば一度もらったのに失くしてしまったときはどうでしょうか。
紛失は確かに本人の責任です。しかし本人のミスで源泉徴収票を失くしてしまったような場合でも、源泉徴収票の再発行は可能です。会社が紛失を理由に再発行を拒否することはできません。
では、本人の落ち度とは関係なく、会社側が源泉徴収票を発行しなくてもいい正当な理由というものがあるのでしょうか。
これも結論を言ってしまえば、源泉徴収票を発行しない正当な理由は存在しません。会社は今いる社員はもちろん、退職した社員に対しても源泉徴収票を渡す義務があります。
会社がなんらかの理由をつけて源泉徴収票を出し渋っているとしても、それは会社側の都合であり、法的に認められたものではありません。それどころか、要望されているにも関わらず源泉徴収票を出さないことのほうが、法に抵触しかねない行為です。
パート、アルバイトだからは理由にならない
ここまでの話しはパートやアルバイトなど、正社員以外で雇用されている人にも同じことが言えます。雇用形態にかかわらず、その年に源泉徴収されているなら、会社は源泉徴収票は出す必要があります。1ヵ月の短期バイトであってもこのことは変わりません。
会社へ電話したくない人は税務署へ相談
源泉徴収票の発行を依頼したいけれど、会社と疎遠になっていたり、退職時のトラブルなどが原因で電話をしたくないという人もいるでしょう。
そのようなときは税務署へ「源泉徴収票不交付の届出書」を提出します。そうすれば税務署から会社のほうへ指導が入り、会社から源泉徴収票が送られてくるはずです。
ただし、源泉徴収票の送付は退職日から1ヵ月くらいかかりますので、退職してすぐに必要な場合はしばらく待つか、電話をして督促するほうが現実的な解決手段と言えるでしょう。「源泉徴収票不交付の届出書」は会社に何度かけあっても源泉徴収票を送付してこないような場合に用いる手段です。
要点を整理した電話のかけ方
電話をかけられるならば、より早くスムーズに源泉徴収票が受け取れることが多いです。働いていた場所と経理や人事部門が別のところにあり、過去に担当者と一度も顔をあわせたことがないような場合は、電話をかけるのも少し緊張してしまうかもしれません。
相手が自分を知らない前提で電話をかけるときは、次のような話し方を参考にしてください。
「お忙しいところ、失礼します」
「○月まで、そちらに勤務していた○○と申します」
「源泉徴収票の件でお電話させていただきました」
「ご担当の方をお願いできますでしょうか?」
担当者とつながったら
「退職後、源泉徴収票がまだ送られてきていません」
「大変恐れ入りますが、郵便でお送りください」
というふうに話しをすれば、相手にも意図が伝わるはずです。源泉徴収票が必要になる時期が迫っているなら、いつまでに送って欲しい、と要望も添えるようにしましょう。
源泉徴収票がないと、何が困る?
源泉徴収票がもらえないと転職先で年末調整ができない可能性があります。ほとんどの人にとって年末調整は所得税の還付を受ける場ですから、年末調整ができなければ本来戻ってくるはずの税金が戻ってこないことになります。
年末調整ができなくても還付金を受ける方法としては確定申告があります。確定申告の場合、ペーパーレス化の流れを受け、源泉徴収票の添付は不要です。毎月の給与明細から源泉所得税の額を抜き出し、その年の源泉徴収の総額が分かれば手続き上は問題ありません。
ただし、その手間を考えると、源泉徴収票を利用して転職後の会社で年末調整してもらうのが最適なのは間違いありません。