会社を辞めることになったら、まず確認しておきたいのが失業手当をもらえるかどうかです。失業手当(正式には雇用保険の基本手当)をもらえるかどうかは、自分でも確認できます。また、意図せず手当てが途中で打ち切りになったりしないよう、手当をもらっている間にも注意すべきことがあります。失業手当をもらう条件を確認しましょう。
失業手当をもらうための条件
・雇用保険に決められた期間、加入していること
これが真っ先に確認する条件です。雇用保険に加入しているかは給与明細で確認しましょう。明細書に雇用保険料の記載があれば保険に加入できています。
失業手当をもらうには、加入期間が一定期間あることが必要です。たとえば新卒で入社して3カ月後に会社を辞めるような場合では、雇用保険に加入していても失業手当はもらえません。
失業手当をもらうための加入期間の基準は、離職理由が自己都合か、倒産、解雇などの会社都合かで異なります。
離職理由 | 失業手当をもらうために必要な加入期間 |
自己都合等 | 離職前の2年間に、12カ月以上の加入 |
会社都合等 | 離職前の1年間に、6カ月以上の加入 |
加入期間が2年間のうちの12カ月(あるいは1年間のうちの6カ月)とありますが、雇用保険に一度加入したら、月によって出入りすることはそれほど多いことではありません。大部分の人は2年間働いたなら24カ月、1年間なら12カ月加入しています。パートやアルバイトの一部の人が、月によって労働時間等が大きく変動し、雇用保険に入る月とそうでない月があるので、このような表現になっているのです。
また、自己都合で会社を辞めた理由が、次のようなケースでは、「特定理由離職者」扱いとなり、「加入期間が離職前の1年間に、6カ月以上の加入」で失業手当をもらうことができます。
- 有期労働契約の更新がなく離職した人
- 体力の不足、心身の障害、疾病、負傷等により離職した人
- 出産や育児により離職し、受給期間の延長措置を受けた人
- 父や母の扶養や介護など、家庭事情の急変により離職した人
- 配偶者や扶養親族と別居生活を続けることが困難になり離職した人
- 結婚、育児等の理由で、通勤が困難になり離職した人
- 企業の人員整理などで、希望退職者の募集に応じて離職した人
以上が、失業手当をもらうため基本中の基本となる条件です。自分の離職理由をもとに、基準となる加入期間をクリアしているかどうかをまず確認してください。
転職後の会社をすぐに辞めてしまった場合は?
たとえば5年間A社で働き、A社離職後すぐにB社へ入社したとします。B社に入社して1カ月で辞めた場合、失業手当はもらえるのでしょうか。
B社には1カ月しか在籍していませんので、B社での雇用保険の加入期間は1カ月です。ここだけを見てしまうと、手当をもらう条件を満たしていないかのようです。しかし、ここで見落としてはいけないのは、A社で5年間雇用保険に入っているという点です。雇用保険は会社が変わっても加入期間を通算できます。A社での5年間の加入があるおかげで、B社を1カ月で離職した場合でも失業手当をもらう権利はあるのです。
ただし、仮にA社離職後に失業手当をわずかでももらっていたら、雇用保険の加入期間は一度リセットされ通算をできなくなります。つまりB社での保険加入期間では基準を満たしていないため、失業手当はもらえません。
失業手当がもらえなくなる条件
雇用保険の加入期間を満たしている場合でも、うっかりミスなどで手当てがもらえなかったり、打ち切りになってしまうことがあります。
・手続きをしていない
失業手当をもらうための第一歩は手続きです。手続きなしではお金は1円たりとも入ってきません。手続きはハローワークで行います。早く手当をもらいたいなら、離職してすぐに手続きを済ませることです。
・転職活動をしない
失業手当は求職活動中の生活を助けるためのものですので、離職後に就職活動を行わないのであれば、手当を受けることはできません。失業手当をもらうためには、求職活動の実績をハローワークに報告しなければならないことを知っている人も多いのではないでしょうか。
離職後、仕事をせず家庭に入ったり、学生として勉強をし直すことが決まっている場合などは、失業手当を受ける対象ではありませんので、手続きそのものが必要ありません。
・パートやアルバイトをしている
失業手当の考え方(求職期間中の生活補助)に照らし合わせると、求職活動中にパートやアルバイトに精を出し過ぎることは好ましくありません。ただし完全にNGということではなく、行う時期や働く量などによって失業手当に与える影響は異なります。この場合の影響とは、手当をいつから(またはいつまで)受けられるかや、手当としてもらえる金額に関連します。
失業手当はいつからもらえるか、その確認
再就職までの期間が長くなる可能性を考慮すると、失業手当がいつからもらえるのかは、大切なポイントです。自己都合か会社都合かで手当をもらうまでの期間に違いがあることは有名です。
・自己都合の場合は、7日+2カ月後からもらえる
・会社都合の場合は、7日後からもらえる
起点の日となるのは、受給資格が決定した日です。この日から7日間を待期期間と言います。待機期間中は離職の理由に係わらず、失業手当は一切でません。
会社都合での離職や特定理由離職者に該当する場合は、待期期間が終わるとすぐに失業手当の給付対象期間となります(実際にお金が振り込まれるのは手続きから一カ月くらい経ってからです)。
一方で、自己都合での離職は、待期期間+2カ月間の給付制限期間を経過しないと給付対象になりません。
失業手当をいつまでもらえるか、その確認
失業手当がもらえるのは、離職した日の翌日から1年が原則です(受給期間中に病気、ケガなどで長期間働くことができないときは例外的に期間が伸びることがあります)。たとえば3月31日に離職し、ハローワークでの手続きが4月30日になった場合では、それだけで受給期間が1カ月分減っていることになります。だから、手続きは早めにしたほうがよいのです。
また、受給期間は1年でも、実際に失業手当が給付される日数(給付日数)は離職理由、年齢などで変わってきます。給付日数は最も短い人で90日、長い人で330日です。
受給期間内(離職日から1年以内)に給付日数分の失業手当を受け取る、という考え方を覚えておきましょう。
手当がもらえるか、セルフチェックに自信がなかったら
ここまで、失業手当をもらうための条件を説明してきました。自分が手当をもらう条件を満たしているかどうかや、いつからその対象となるのか、だいたいイメージできたのではないでしょうか。
もし、セルフチェックに自信が持てないなら、ハローワークへ行って直接確認しましょう。失業手当がもらえることが分かったら、具体的な金額はいくらになるのかも知りたくなるはずです。ハローワークへ行けばそうした情報も得られます。