所得税の悩める「いつ」を解決。税金はいつ決まる?いつから払う?

この記事は約5分で読めます。

所得税を払っている実感がありますか?働いてお金を得ているなら、ほとんどの人が所得税を払っています。ただし、課税がいつからで、どのようにして払うのかを、しっかりと意識している人は少ないようです。また、働き方によっても所得税の払い方は違います。

このページでは勤め先のことを総称として「会社」と表現しています。

所得税はいつ払う?会社員、フリーランス、バイトの違い

最初に、会社員、フリーランス、アルバイトで所得税の払い方にどのような違いがあるのか、確認してみましょう。

源泉徴収で引かれる所得税。会社員は毎月計算

会社員の所得税は源泉徴収が基本です。そのため税金を払うというよりも、税金を引かれるという印象で捉えている人が多いでしょう。源泉徴収とは、会社が社員それぞれの所得に見合った所得税額を計算し、社員に代わり納税する仕組みです。所得税の計算には「給与所得の源泉徴収税額表」の月額表が使われます。この税額表は公表されていますので誰でも見ることができます。

源泉徴収は給料の支払いと同じタイミングで行われます。つまり所得税がいつから引かれるのか、という問いに対する回答は「給料をもらうとき」になります。新卒者であれば、初任給のときからこの源泉徴収は始まるのです。なお、給料から引かれる税金にはほかに住民税があります。住民税は新卒の場合、最初の1年間は支払いがないなど所得税とはまったく別の動きになります。詳しくは「住民税のいつ?をまとめて解決」をご覧ください。

アルバイトでも源泉徴収が行われる仕組みは同じです。ただし働き方によっては社員よりもアルバイトのほうが所得税の払い方が複雑になります。たとえば月に稼いだ金額によって源泉徴収があったり、なかったりします。また、複数のアルバイトをしているときは、少し多めに源泉徴収される場合もあります。

フリーランスで仕事をしている人にも源泉徴収はあります。一般的には税抜金額の10.21%が源泉徴収額となります。この税金はクライアントが納税しますので、フリーランスの手取りはこの源泉徴収額を引いた分になります。つまり、フリーランスが所得税をいつ払うのか、という問いに対する回答は「売上を得るとき」です。

確定申告は申告と同時に課税。納期限は3月15日

では、自営業者などは所得税をいつ払うのでしょうか?自営業者や、合計年収が103万円を超えていて職場で源泉徴収されていない掛け持ちのアルバイトなどは、確定申告で自ら所得と所得税額を明らかにした後に税金を払います。申告時に払う人が多いですが、納期限は確定申告の毎年の締切日である3月15日です。

その年の所得税は最終的にいつ決まる?

会社員に代表される給与所得者は、源泉徴収によって毎月の給与時に所得税を払っています。源泉徴収の狙いは、所得税の納付の取りこぼしを防ぐことにあるため、本来払うべき所得税額よりも多めに徴収されることがあります。これらを是正するために行うのが年末調整であり、確定申告です。

源泉徴収は仮納税。年末調整で税金が戻る可能性は高い

源泉徴収によって引かれる所得税は仮納税のようなものです。毎月の源泉徴収で積み上げてきた額は、本来の所得税額よりも多くなることがほとんどです。

11月から12月にかけて行われる年末調整は所得税の清算行為です。年末調整で控除できる所得を申請し、1年間の所得と所得税額をはっきりさせます。その結果、本来の所得税額よりも源泉徴収額徴の累計額のほうが多ければ、税金を戻す仕組みになっています。

たとえば年末調整で、次のような状況や支出の申請をすると、控除額が増え税金は戻ってきます。

年末調整の申請内容の例
  • 16歳以上の子どもや両親などがいて、その生活を支えている(扶養している)。
  • ひとり親である。
  • 生命保険料への支払いがある。
  • 地震保険への支払いがある。
  • iDeCoの掛金への支払いがある。

所得税がいつ決まるのか、という問いに対して、大部分の会社員に対する回答は「年末調整」になります。

確定申告で税額は最終決定。会社員が確定申告する場合

ほとんどの給与所得者は年末調整で所得税は決定し、納税や還付も完了します。晴れて新しい年を迎えるわけです。

ただし、年末調整のないフリーランスや掛け持ちのアルバイトもいます。こうした人たちは確定申告で本来の所得税額と源泉徴収額徴の累計額との清算を行います。会社員も次の条件にひとつでも当てはまれば確定申告が必要です。

確定申告をする必要がある会社員
  • 年収が2,000万円を超えている。
  • 給料以外の所得(副業など)が20万円以上ある。
  • 住宅ローン控除を受ける(初年度のみ確定申告が必要)。
  • 1年間で支払った医療費が高額でその控除を申請する(医療費控除)。
  • 災害や盗難などで財産を失った(雑損控除)。
  • 特定寄付金を支出した(寄付金控除)。

所得税の税額がいつ決まるのか。すべての人に共通する最終的な地点は確定申告と言えるでしょう。

所得の期間はいつからいつまで?

最後に、所得税の期間についても確認しておきましょう。これは毎年1月1日から12月31日までの所得を対象期間としています。源泉徴収はこの期間中に毎月行われるもの、年末調整はこの期間の最後、年末に行われるもの、確定申告はこの期間の翌年2月16日から3月15日までに行われるものです。

なお、1年間の所得に対する税率は2020年現在、次のように決まっています。

所得税の速算表(※復興特別所得税は含みません)
課税される所得金額税率控除額
195万円以下5%0円
195万円を超え330万円以下10%97,500円
330万円を超え695万円以下20%427,500円
695万円を超え900万円以下23%636,000円
900万円を超え1,800万円以下33%1,536,000円
1,800万円超40%2,796,000円

例えば課税される所得金額が7,000,000円の場合には、求める税額は「7,000,000円×0.23-636,000円=974,000円」になります。

執筆者

鈴木玲(ファイナンシャルプランナー/住宅ローンアドバイザー)

出版社、Webメディアで企画・制作を手掛けたのちに、メディアプランナーとして独立。それまで無関心だった社会保険や税金、資産運用に目覚める。主に若年層に対して社会の仕組みやお金の役割について経験をもとに、わかりやすく伝える。

タイトルとURLをコピーしました