社会保険料の負担割合を完全マスター【2022年度版】

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健康保険や厚生年金などの社会保険料は会社と労働者がそれぞれ負担します。会社がいくら払い、あなたがいくら払うのか。それを決めるのが負担割合です。社会保険料の負担割合について学んでいきましょう。

このページで想定する読者は会社員(契約社員やアルバイトも含む)や公務員として常時雇用され報酬を得ている人(「会社員等」と表現します)です。また勤め先のことを総称として「会社」と表現しています。

社会保険の天引き額を決める!負担割合がもつ超重要な役割

まず、社会保険料の負担割合をしっかりと定義しましょう。これは社会保険料(健康保険料や厚生年金保険料、雇用保険料など)として払う金額のうち、会社とあなたがそれぞれどれくらい負担するか、その割合を示すものです。「5対5」「7対3」といった言い方で使われたりもします。社会保険料の負担割合は各社会保険で違います。

給与明細には社会保険料として徴収される金額(天引き額)が各社会保険で記載されていますが、どれだけ眺めても負担割合は分かりません。各社会保険であなたが負担する割合を示したのが次の表です。

健康保険40~50%
介護保険50%
厚生年金保険50%
労災保険0%
雇用保険30%台前半

たとえば健康保険料が3万円だったとしましょう。負担割合は6対4(会社が6)とします。あなたが負担する健康保険料は3万円×0.4=1.2万円です。すべての社会保険料は、次の計算式であなたの負担額を求めることになります。

社会保険料×負担割合(自己負担分)=あなたの負担する保険料

また、負担割合が分かっていれば、給与明細の天引き額をもとに、会社とあなたの分を合算したトータルの社会保険料がいくらになっているかも逆算して出すことができます。

各社会保険の負担割合をみるときの注意点

健康保険

協会けんぽの健康保険が自己負担割合を50%としているので、「健康保険料=会社との折半」思われがちですがそうとは限りません。組合健保や共済組合では自己負担率が半分以下(40%台)の組合も多数存在します。

介護保険

介護保険は協会けんぽは折半。組合健保や共済組合もほぼ折半と考えて問題ありません。

厚生年金保険

厚生年金保険は 厚生年金法第82条によって、会社とあなたがそれぞれ保険料の半額を負担することが決まっています。健康保険のように加入している組合による違いはありません。

労災保険

保険料の負担割合で特筆すべきは労災保険です。あなたの負担割合は0です。あらためて給与明細を見てください。「労災保険」の項目がないことに気が付くはずです。負担していないので、項目そのものがないのです。

雇用保険

雇用保険は事業の種類を3つに分け、それぞれに負担割合が決まっています。 一般の事業3/9.5、農林水産・清酒製造の事業4/11.5、建設の事業4/12.5%があなたの負担する割合です。

社会保険料の保険料率も重要なワードです。負担割合とセットで確認しておきましょう。

負担割合を使って、天引き額をシミュレーション

それでは、社会保険料の総額と、会社とあなたの負担割合に応じた保険料の支払額をサンプルを使ってシミュレーションしてみましょう。今回用意したサンプルは、40歳以上で月の報酬(または賃金総額)が380,000円のケースです。この380,000円を各社会保険の保険料率と掛け算して保険料を算出します。そこから、これも各社会保険ごとに決まっている負担割合に応じて会社負担と自己負担(労働者負担)に分けています。

保険料率保険料会社負担自己負担
健康保険9.81%37,278円18,639円18,639円
介護保険1.64%6,232円3,116円3,116円
厚生年金保険18.3%69,540円34,770円34,770円
労災保険0.3%1,140円1,140円0円
雇用保険0.95%3,610円2,470円1,140円
合計117,800円60,135円57,665円

健康保険・介護保険は協会けんぽ・東京都の数値をもとにしています。労災保険および雇用保険はその他の各種事業、一般の事業の数値を使用しました。

シミュレーション結果を見た感想はいかがでしょうか。まず、保険料の合計に驚くのではないでしょうか。380,000円の報酬に対して保険料の合計はおよそ120,000円。実に報酬の30%にもなります。

と同時に、会社負担の大きさもよくわかります。どんな会社でも社会保険料の負担割合は50%を超えます。労働者よりもたくさんの社会保険料を会社は負担しているわけです。保険料を全額自己負担している国民健康保険や国民年金利用者の目にはさぞかし羨ましいものに映るはずです。

執筆者

鈴木玲(ファイナンシャルプランナー/住宅ローンアドバイザー)

出版社、Webメディアで企画・制作を手掛けたのちに、メディアプランナーとして独立。それまで無関心だった社会保険や税金、資産運用に目覚める。主に若年層に対して社会の仕組みやお金の役割について経験をもとに、わかりやすく伝える。

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