20歳になると新たにできるようになることがある。と同時に責任も増し、すべきこと(義務)も発生する気がする。たとえば税金。20歳から払う税金があるような気がしないかい?
税金と年金。何が違う?
お金にあまり頓着しない人は、社会で働き始めても税金と年金の違いがはっきりと分からないままだったりする。税金も年金も、とにかく給与から引かれるという点で同じ、くらいの認識の人がいても驚くことではない。
「20歳から払う税金」があるような気がするのは、20歳になると年金の支払いが始まるので、おそらくそのこととリンクさせているからだろう。では、税金はいつから払うようになるのか。そもそも年齢を基準にした税金というのは存在するのだろうか。
税金はいつから?
結論から言うと、20歳から払い始める税金というのは存在しない。20歳に限らず、年齢を支払い基準としている税金はひとつもない。なぜなら、税金は基本的に経済活動に伴って発生するものだからだ。
個人で税金を払う場合、そのシチュエーションは大きくふたつのケースに分けられる。税金をいつ、どんなタイミングで払う決まりになっているか整理してみよう。
モノやサービスを買ったときに払う税金
典型的なのは消費税。ほとんどの商品やサービスが課税対象だ。ピンポイントにモノに対して課税するのは、酒(酒税)とたばこ(たばこ税)、ガソリン(ガソリン税)だ。酒とたばこの利用は20歳になってから。だから、酒税とたばこ税は20歳から払う税金と言えなくもない。が、酒やたばこは皆がやるものではないし、税制に使用者の年齢が規則として謳われていないので、これらを「20歳から払う税金」と定義することはできない。
こうした、モノやサービスを買ったときに払う税金の大半は、購入者が大人でも子どもでも税率が変わることはない。レアなケースは温泉地でかかる入湯税。これは各自治体が定める税金で、12歳未満は税金がかからないなど、年齢による税差がある珍しい税金だよ。
お金を稼いだ(得た)ときに払う税金
お金を稼ぐときも税金を払うタイミングのひとつ。払う税金の名前は所得税と住民税だ。逆に言うと、お金を稼がない限りこの税金を払うことはない。16歳でもアルバイトで一定額以上の稼ぎがあるなら所得税も住民税も払う。30歳でも仕事をして稼いでいなければ所得税・住民税は払わない。稼ぐことと税金を払うことは表裏一体。この関係に年齢が介在する余地はない。
お金が手に入るのは自分で働いたときだけとは限らない。相続や贈与などはその典型だ。また、銀行にお金を預けることで得られる利子。これにも税金がかかる。10歳の小学生でも貯金をしていたら、意識せずとも税金を払っているんだ。
税金はいくら?
せっかく税金について学んできたので、もうひとつ税金で気になることを考えてみよう。税金は「いくら」なのかだ。
税金の金額を決めるのは税率だ。日本の税率には累進課税と比例課税がある。累進課税は課税対象額が大きくなるに従い税率も上がるというもので、その代表は所得税だ。たとえば1年間の課税所得額が200万円の人の所得税率は10%だが、2,000万円の人ではこれが40%になる(控除額については考慮していない)。所得のアップに対応する形で税率が上がっているよね。所得税のほかに相続税、贈与税が累進課税の仕組みになっている。
一方、比例課税は税率が決まっているもので、固定税率という言い方が一般的だ。たとえば消費税であれば税率は10%で固定されている。100円ショップでの1品あたりの消費税は、誰が買ったときでも同じ10円だよね。所得も年齢も関係ない。
なお、日本の税収(租税および印紙収入)のうち、所得税は31.8%、消費税は31.0%。このふたつだけで6割超にもなっている(2020年度)。
20歳になったら必ず払う税金なんてない!
話しがあちこち脱線したけれど、まとめると20歳から払う税金というのは存在しない。だから20歳になったら税金をいくら払うの?という質問はナンセンスだ。税金には何歳から払うという考え方はない。「モノやサービスを買ったとき」「お金を稼いだ(得た)とき」。これが税金を払うタイミングだということを覚えておこう。