18歳ではじめる、社会保険の独学勉強法

2019-08-12

社会保険の独学勉強法イメージ画像

 社労士やFPになる予定はない。役所で働いてもいない。何事もプロにはプロの、そうでない人にはそうでない人の勉強法が必要だ。

このページで想定する読者は会社員(契約社員やアルバイトも含む)や公務員として常時雇用され報酬を得ている人です。総称として「会社員等」「会社」と表現します。

社会保険を身につけるロードマップ。

最終ゴール

社会保険の仕組みをとおして、日本の今や将来を展望できるようになる。

プロセス(1):民間保険とは違う「社会保険ならでは」を知る。

プロセス(2):5種類ある「社会保険」。それぞれの特徴や違いを知る。

プロセス(3):社会保険のニュースをキャッチし続ける。

 最終ゴールは少し大げさに「社会保険を通じて日本を見る」だ。ちょっと抽象的だよね。もちろん前提として社会保険の名前を覚えることや保険をただしく利用できるようになることがある。保険料を節約するテクニカルな話も先々では出てくるよ。そうしたことを学んでいると、自然と日本の現状が見えてきたりするんだ。

 このページではプロセス(1)「 民間保険とは違う「社会保険ならでは」を知る」に取り組んでみよう。

会社への感謝の気持ちがふつふつと。保険料と保険料率。

 ふつうの保険ではありえない「社会保険ならでは」といえば?

 「保険料をこっちの断りなく徴収していること。」

 正解!

 「保険料を会社も一緒に負担してくれていること。」

 正解!

 保険料を断りなく徴収できるのは社会保険が「義務」だから。民間保険は加入するしないを自分で決める「任意」制度。大きな違いだね。保険料をジブンで決められないのも社会保険ならでは。民間の保険は保障内容と保険料のバランスを考えてジブンにあったプランを決めるけど、社会保険は保険料も保障内容も決められていて融通がきかない。とにかく堅物なんだ、社会保険っていうのは。

 さっそく保険料に関することから社会保険を眺めてみることにしよう。

 まず基本的なことから。保険料とは保険の加入に際して払うおカネのことだ。保険がおりて、もらうおカネを保険金または給付金と呼ぶ。きちんと保険料を払っているから何かあったときに保険がカバーしてくれる、そういう仕組みだ(ここまでは民間保険も一緒!)。社会保険は全部で5つ。それぞれに払わなければならない保険料があるんだけどその金額は保険ごとに決められている。共通しているのはキミが稼いだおカネ(以後「報酬」と呼ぶよ)に対して何%という決め方をしていることだ。

社会保険名称保険料率
健康保険めやす10%
労災保険平均4.5%
雇用保険9%・11%・12%のいずれか
厚生年金保険18.3%
介護保険めやす1.5%~1.8%

 保険料率のところが「めやす」「平均」「いずれか」とはっきりしないよね。「ごめんなさい」だ。この表ではこれがせいいっぱい。今は社会保険のなかでも保険料率にかなりばらつきがあることだけわかってもらえればいい。数字も記憶する必要はないよ。

 さて、話をしたいのは「保険料を会社も一緒に負担してくれていること」についてだ。社会保険は保険料にたいして会社とジブンの負担割合というのがあって、これも保険料率と同じく保険ごとに決められている。たとえば厚生年金保険は保険料率が18.3%で負担割合は50:50、会社とジブンが半々の9.15%分ずつ負担するんだ。

 ジブンが負担する保険料は「こっちの断りなく徴収」されているよね。天引き、なんて言ったりもする。一連の流れを図にしてみよう。

社会保険料の支払われ方のフロー

 社会保険の料率が変わるときは必ずニュースでとりあげられる。このニュースに会社は敏感だ。たとえわずかでも保険料率がアップしたら何百人、何千人もの社員を抱える会社からしたらとんでもない負担増になるからね。保険料を負担してくれる会社に感謝したくなった?

社会保険の保険料率とその負担割合については専用のページを用意しました。このページでは説明しきれなかったことや最新の数値を掲載しています。
社会保険の保険料率を完全マスター
社会保険料の負担割合を完全マスター

報酬について覚えておきたいたったひとつの原則。

 もうひとつ大事なことがある。「報酬」だ。すでに一度登場したね。社会保険は報酬が多い人ほどたくさんの保険料を払うシステムになっている。これも「社会保険ならでは」。とても重要なことだ。ところでこの報酬。勉強を進めていくと意外とやっかいな存在になる。勉強をすればするほど似たような言葉が次々出てくるからだ。「標準報酬月額」「標準賞与額」「賃金総額」。どれも保険料を決める報酬のことだが呼び方や計算の仕方が違う。

 結論から言おう。これらの言葉にはあまりこだわらなくていい。もしキミがおカネのプロもしくは会社で給与計算する部署で働くなら別だが、そうでなければ少なくともプロセス(1)で覚える必要はない。5種類の「社会保険」 の特徴と違いをはっきりさせるプロセス(2)を終え、どうせなら社会保険をもっと節約できないかな、と応用編にチャレンジするときがこれらの言葉を覚えるベストタイミングだ。それまでは報酬が多いと社会保険料の負担も増える、という大原則を知っていれば大丈夫!

まとめ:次のプロセスでこの後すること。

 このページでは5つの社会保険に共通する特徴を「社会保険ならでは」という言葉で表現してみた。社会保険は「義務」であり「保険料」「保障内容」が決められている。保険料率と負担割合が大きな特徴だったね。次のプロセスでは社会保険ごとにこれらの数字を覚えなければならない。ちょっと大変かもしれないよ。とくに保険料率は業種や保険の加入先によって数字が変わることがあるので厄介だ (「めやす」「平均」「いずれか」 があったよね)。働いている人はジブンの会社で、働くのがこれからという人は代表的な事例をもとに保険料率の数値が頭に入ればOK。

 社会保険の中身はギブ&テイクで考えると整理しやすい。保険料がギブ、社会保険の給付がテイクだ。どれだけギブし、どれだけのテイクを得られるのか。質と量の両方で評価したほうがいいだろうね。一般的にギブが大きいのは厚生年金保険、テイクする機会は健康保険が多くなるだろう。このどちらかからプロセス(2)を始めるとジブンのこととして考えやすいかもしれない。