住民税の納付書が届かない!まず確認する4つのこと

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通常、住民税の納付書は自治体から6月の初旬ごろに届きます。封筒には納付書ではなく「住民税通知書」または「住民税納付通知書」と記載されているはずです。

6月が過ぎ、7月になってまだ書類が送られてこないのであれば、何かしらの理由があるはずです。住民税の納付書が届かない理由として考えられる4つの事例を説明します。

納付書が届かないときに可能性がある4つのこと

住民税の納付書は届く人と届かない人がいます。同じ人でも去年は届いたけど、今年は届かないということもあります。納付書が届かないのは、次の4つのいずれかに該当するからかもしれません。

住民税が非課税である

自治体のなかには、住民税がかからない場合は住民税の納付書を郵送しないところがあります。前年の所得が少なく、住民税が非課税であるために納付書が届いていないのかもしれません。そのことを確認したいのであれば、自治体の税を扱う部署へ問い合わせましょう。

給与から天引きされている

住民税の納税には、給与から天引きする「特別徴収」という方法があります。一般的な会社員はもちろん、派遣社員やアルバイト・パートでもこの特別徴収によって住民税を納める人は多いです。毎月の給与明細に住民税の項目と金額が記されていれば特別徴収が行われていることを意味します。

口座振替をしている

口座振替の手続きをしている可能性も考えられます。口座振替に対しては領収書など納付のお知らせを発行しない自治体も多いので、口座振替をしていることを忘れているのかもしれません。経費削減のため、お知らせの送付を取りやめる自治体も増えています。口座振替をしていないかどうか、口座の入出金を確認してみましょう。

まだ支払う時期ではない

住民税は1年の所得が決定した後に支払いが開始します。たとえば2020年には所得がなく、2021年の1月から仕事を始めた場合、2021年分の住民税の支払いが開始するのは2022年6月以降です。その年がまだ支払う時期になっていないので、納付書が届いていないのかもしれません。

住民税の納付で注意が必要な状況

住民税は所得を得たときと実際の納付までに時間差があります。また、給与所得者の場合、給与から天引きされて徴収されるという特徴があります。こうした事情から、転職時や退職時の住民税の取り扱いは少し複雑になっています。

転職先がすでに決まっているときの住民税

転職先が決定していて、住民税の納付に関する手続きを転職前の会社で行える場合は給与からの天引き(特別徴収)を継続して行うことができます。この後で紹介する別のケースのように一括徴収があったり、一度普通徴収に切り替えたりということがなく、引き続き給与から一定額の住民税が天引きされます。

ただし手続きは少しやっかいで、まず転職前の会社で「給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書」の必要事項を記入してもらい、その届出書を新しい勤務先へ送付。新しい勤務先がその書類を市区町村へ提出するという段取りが必要になります。転職前後の会社双方の協力と、自身が手続きを遺漏なく行える準備を心がけましょう。

退職が1月から5月だったときの住民税

この時点で給与から天引きされているのは、前年度分の所得に関するもので、その支払いは5月支払い分までが残っている状態です。そのため、1月から5月に退職する場合は、退職月の給与から残りの分が一括して徴収される形になります。退職前の最後の給与と見込んでいたお金の大部分が住民税の支払いに充てられてしまう可能性もあるので、あらかじめ総額がどれくらいになるのか、確認しておくと良いでしょう。

退職が6月から12月だったときの住民税

6月から12月に退職する場合は、退職月の住民税は給与から天引きし、それ以降、翌年5月支払い分までは普通徴収に切り替える形が一般的です。これは残っている住民税額がかなりある状態なので全額給与から徴収できない、あるいは負担が大きすぎるという事情からです。本人が希望すれば、残額分も給与から天引きしてもらうことは可能です。

退職金に対する住民税

退職手当、一時恩給などという名前で支給される退職金は退職所得と言って、給与所得とは別の扱いになります。具体的には、会社が退職金を支払う時点でその所得に対する住民税を計算し、天引きします。その時点で納税まで完結していますので、後日、自治体から納付書が送られてくることはありません。

執筆者

鈴木玲(ファイナンシャルプランナー/住宅ローンアドバイザー)

出版社、Webメディアで企画・制作を手掛けたのちに、メディアプランナーとして独立。それまで無関心だった社会保険や税金、資産運用に目覚める。主に若年層に対して社会の仕組みやお金の役割について経験をもとに、わかりやすく伝える。