可処分所得の求め方と、家計への有効活用

この記事は約5分で読めます。

可処分所得という言葉があります。日常生活で使う言葉ではないのでとっつきづらい印象を受けるかもしれませんが、言葉を分解すればその意味は難しくありません。可処分所得は家計の見直しをするときに役立ちます。住宅の購入を考えていたり、子どもの教育費が心配という人は、ぜひ可処分所得を有効に活用してください。

可処分所得の意味と基本の計算

可処分所得の意味を確認しましょう。可処分所得とは「処分することが可能な所得」です。もっと平たい言い方をすれば「自分で使いみちを自由に決められるお金」のことです。

では可処分所得の反対、自分で使いみちを決められないお金とは何を指すのでしょうか。答えは「税金(所得税と住民税)」と「社会保険料」です。毎月の給与や、年に何度か支給される賞与が、税金、社会保険料分を差し引かれて銀行口座に振り込まれることはほとんどの人が知っています。

可処分所得の求め方を計算式で表すと次のようになります。

可処分所得=(給与+賞与)-(税金+社会保険料)

これは手取りの計算とほとんど同じです。可処分所得という言い方が難しいだけで、手取りのことだと思えばそれほど複雑なものではありません。

だいたいの可処分所得はすぐ分かる

可処分所得と難しい言い方をするから身構えてしまいますが、つまりは手取りです。であるならば、可処分所得の求め方は先の計算式を使わずとも比較的容易な方法があります。サラリーマンであれば、1年の間に会社から振り込まれた給与や賞与の額を合計すればいいのです。

また、12月に会社から渡される「源泉徴収票」を使って可処分所得を確認することもできます。源泉徴収票にある「支払金額」から「源泉徴収税額」と「社会保険料等の金額」を引くだけです。可処分所得の求め方としてはもっとも簡単なものかもしれません。

以上は結果から可処分所得を知る方法です。では、支払金額をもとに可処分所得を計算することはできるのでしょうか。これができると将来の稼ぎに対しても可処分所得が出せることになります。振込額の合計や源泉徴収票を使うやり方に比べると、おおまかになりますが、できないことはありません。

支払金額が1,000万円までであれば70%~80%が可処分所得になることが多いです。1,000万円に近いほうがより70%に近くなります。可処分所得が少なくなる、ということです。これは所得税の累進課税が影響しています。所得が多い人ほど税率が高くなるという有名な税の仕組みです。

収入と所得と可処分所得の違い

可処分所得のことがかなり具体的にイメージできるようになったのではないでしょうか。理解をさらに深めるために、可処分所得に関連する言葉の整理もしておきましょう。

取り上げるのは「収入」「所得」です。それぞれの意味と違いが分かるようにしましょう。

最初に「収入」についてです。これは先の源泉徴収票で説明した「支払金額」のことです。「額面」という使われ方もあります。稼いだすべての金額で、書面上でのみ存在する数値です。基本給、残業手当、住宅手当、役職手当などが含まれます。1年間で得た収入は「年収」と呼ばれます。

続いて「所得」です。所得とは「収入」から「経費」を引いたものです。会社員の場合、経費の扱いが独特で、実際に使用した金額ではなく収入に応じた金額とすることになっています。この金額のことを「給与所得控除」と言います。給与所得控除は次の計算表から算出します。

収入給与所得控除額
1,625,000円まで550,000円
1,625,001円から1,800,000円まで収入金額×40%-100,000円
1,800,001円から3,600,000円まで収入金額×30%+80,000円
3,600,001円から6,600,000円まで収入金額×20%+440,000円
6,600,001円から8,500,000円まで収入金額×10%+1,100,000円
8,500,001円以上1,950,000円

位置づけは経費と同じですので、会社員の1年間の所得を計算するときは「年収-給与所得控除(経費)」で計算します。

「可処分所得」との違いは、「所得」は税金(所得税・住民税)や社会保険料を引いていない点です。計算式で表すと次のような違いがあります。

所得=年収-給与所得控除

可処分所得=所得-(税金+社会保険料)

「所得」は税金を計算するときに使用される帳簿上の数値です。可処分所得のように、生活の中でのリアルなお金とは意味合いが違います。

可処分所得の細分化で家計を見直す

可処分所得は、家計管理をする上ではとても重要です。「自分で使いみちを自由に決められるお金」とは言ったものの、実際には生活に必要な住居費や食費、光熱費などに充当されていくはずです。これらは消費支出と呼ばれるものです。家計管理においては、消費支出の項目とその金額を「見える化」することが大切です。

日本FP協会のホームページで公開されている家計の収支確認表はわかりやすく「見える化」できるツールです。参考にしてみてください。

「便利ツールで家計をチェック」

日本FP協会

住宅の購入や将来の子どもの教育費についてプランニングしたいなら、「可処分所得-消費支出=貯蓄額」の計算が重要です。将来に向けて家計の現状とその見直し、5年後、10年後と先を想定することで、適切な管理ができるようになります。

その時も、基準となるのは可処分所得です。収入や所得ではありません。これを間違えると貯蓄額も誤った数値となり、せっかく作成した将来設計も水の泡になってしまいかねません。

家計管理では可処分所得が重要であることを忘れないでください。

タイトルとURLをコピーしました