健康保険料は今いくら?「だいたいわかる」カンタン計算法

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健康保険の保険料は給与や賞与をもらうたびに支払っています。病院にいって治療費を全額払わなくてすむのはこの健康保険のおかげです。このページでは保険料の額がどうやってきまっているかを解説します。

だいたいなら「5%」で計算しても問題ナシ

あなたが負担する健康保険料は給与や賞与の額と連動しています。だいたいの金額を知りたい、という人であれば、給与や賞与の額に5%をかけてみましょう。

例をあげて計算してみましょう。254,139円×5%=12,706円(端数切捨て)といった具合です。正確な額ではありませんが「だいたいわかればいい」のであれば、5%は有効な数字です。前提として、実際は加入する組合や都道府県別によってこの「5%」という数値が変わることは覚えておいてください。

賞与の健康保険料の計算は切り捨て

健康保険の保険料は給与と賞与では別々の計算方法が用意されています。どのような違いがあるのか、まずは賞与時の健康保険料の決まり方を確認します。

まず、ここでいう「賞与」は支給が年3回以下のものに限ります。賞与が年に4回以上出ていたら会社的には「賞与」でも、健康保険の計算上は給与になります。

賞与時の保険料計算を先に紹介するのは、計算式が簡単だからです。賞与時の健康保険料は報酬の千円未満を切り捨てた額の5%です。上で紹介した254,149円が賞与だったとすると以下のようになります。

254,000円(千円未満切り捨て)×5%=12,700円

年間の賞与額が573万円を超える人には特典があります。健康保険は年間573万円を超えた部分の賞与に対しては保険料がかかりません。どんなにたくさん賞与をもらっても5,730,000円×5%=286,500円が賞与に対して払う1年の保険料の上限です。

給与の健康保険料の計算はグレードで考える

給与の計算は賞与より少しだけ手間がかかります。これは給与額に応じた代表値を計算に使うからです。例をあげてみましょう。

給与額代表値
210,000~230,000220,000
230,000~250,000240,000
250,000~270,000260,000

このようなカテゴリーが全部で50あります。このカテゴリーは等級と呼ばれます。給与の健康保険料を計算するときは、報酬が210,000円の人も220,000円の人も230,000円の人も一律220,000円で扱われているのです

再び254,149円を例にしてみましょう。上の表で確認すると254,149円の代表値は260,000円です。この代表値を使って保険料は次のように計算されます。

260,000円×5%=13,000円。

これが給与時の健康保険料です。

代表値はそれぞれの組合が組合員向けに公表しているものがありますので、それを確認しましょう。協会けんぽの数値でも代用できます。

給与も一定額を超えた部分については健康保険料がかからない仕組みです。1,390,000円を超えると一律1,355,000×5%=67,750円が給与にかかる保険料の上限です。

健康保険料の計算で登場する専門用語

健康保険料を計算するにあたり、いくつか専門的な言葉が出てくるので整理しておきましょう。

報酬

ここまで計算には給与や賞与の額をそのまま使ってきましたが、健康保険料の計算に使われる数値は必ずしも給与や賞与の額とは一致しません。正確には「報酬」と呼ばれるお金の総額が、保険料の計算には使われます。

報酬に含まれるものは基本給のほかに手当などです。通勤手当や役職手当などですね。日本年金機構のHPで報酬に含まれるものとしていくつか例があげられているので確認してみましょう。

日本年金機構ホームページより

基本給のほか、能率給、奨励給、役付手当、職階手当、特別勤務手当、勤務地手当、物価手当、日直手当、宿直手当、家族手当、休職手当、通勤手当、住宅手当、別居手当、早出残業手当、継続支給する見舞金等、事業所から現金又は現物で支給されるものを指します。

報酬に含まれないものとして、退職手当、内職収入、財産収入、出張旅費、赴任旅費、見舞金、結婚祝い金、餞別金、大入袋などが該当するとされています。

標準賞与額

標準賞与額は賞与の健康保険料を計算するときに使用する数値です。賞与報酬の千円未満を切り捨てたものが標準賞与額になります。

(例)賞与報酬が254,149円のときの標準賞与額は245,000円。

標準月額報酬

標準月額報酬は給与の保険料を計算するときに「代表値」と呼んだもののことです。標準報酬月額は、1等級(5万8千円)から50等級(139万円)までの50等級に分かれています。

(例)給与報酬が254,149円のときの標準月額報酬は260,000円。

標準月額報酬は毎月の給料のたびに計算されるわけではありません。もっとも一般的な定時決定では、4月から6月の報酬の平均を計算し、そこで出された標準月額報酬を9月分の給与から1年間適用します。4月から6月にいつもより多めに残業代などをもらっているとそれを基準に健康保険料が決まってしまうので、ちょっと損することになります。この点は会社も従業員もそれぞれ注意しなければならないことです。

執筆者

鈴木玲(ファイナンシャルプランナー/住宅ローンアドバイザー)

出版社、Webメディアで企画・制作を手掛けたのちに、メディアプランナーとして独立。それまで無関心だった社会保険や税金、資産運用に目覚める。主に若年層に対して社会の仕組みやお金の役割について経験をもとに、わかりやすく伝える。

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