パートの住民税。普通徴収と特別徴収の違いは?払わなくていい人にもなれる?

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パートの住民税で気になるのは、払う人と払わなくていい人がいること。この違いはどうやって決まるのでしょうか。また住民税を払う人の場合、その支払い方法はどうなっているのでしょうか。

住民税の払い方は2パターン。天引きか、自分で納付

まず、住民税があるものとして、その支払い方法にどのようなものがあるか確認するところから始めましょう。住民税の支払い方法には「普通徴収」と「特別徴収」というふたつの方法があります。これはパートだけに限りません。住民税の支払い対象者すべてが、このどちらかの支払い方法で住民税を納付しています。

住民税の普通徴収

普通徴収とは、住民が自ら税金を納付する方法です。役所から住民税に関する支払い通知が届き、その書類を銀行やコンビニエンスストアに持っていき納税する、というものです。

住民税の特別徴収

特別徴収とは、会社が従業員に代わって住民税を納付する方法です。会社は支払うべき給与から住民税分を差し引いて納税に充てます。いわゆる「天引き」と呼ばれるものですね。従業員にできることは、毎月の給与明細で住民税がいくら引かれるかを確認するだけです。


住民税が普通徴収か特別徴収かは、納税者の状況で決まります。ここでいう状況とは、給与があるかどうかです。給与によって所得を得ている人は特別徴収(天引き)で、そうでない人は普通徴収で住民税を納めます。納税者が個別に希望する支払い方法を選べるものではありません。

パートの場合、働いて給与所得を得ていますので、基本は特別徴収です。ただし、払いている期間や、退職の仕方などによっては自分で納める普通徴収になることもあります。どんなケースか確認してみましょう。

普通徴収になるのはどんな時?

長く同じ会社に勤めていると、住民税は給与から天引きで引かれるのが当たり前になってくるので、住民税を意識する機会が少なくなってしまいます。特別徴収で住民税を支払うのは、前年中に給与の支払いがあり、当年度の4月1日においても給与の支払いを受けている人です。

逆に言えば、この原則に当てはまらないパートは普通徴収になる可能性があります。たとえば「前年と今年でパート先が変わった」「4月1日にはパートを辞めてしまっていた」などが考えられます。

また、ずっと同じパート先で働いてきたけれど、急に退職することになった場合なども、特別徴収しきれなかった分を普通徴収で納めなければならないケースがあります。

普通徴収のときの支払い方法

普通徴収は、毎年6月頃に、市区町村から住民税に関する納税通知書を郵便で受け取ります。多くの市区町村では、支払い日を6月、8月、10月、(翌年)1月の4回に設定しています。通知書に同封されている納付書を使って払う方法が一般的ですが、口座振替や、一部の市区町村ではクレジットカードでの支払いにも対応しています。

急な退職などで、特別徴収しきれなかった分を納める場合などは、期の途中であっても住民税のお知らせが届くことがありますので、案内に従って納税をしましょう。

住民税を払わなくていいパートの稼ぎはいくら?

パートのなかには住民税を払わない人もいます。これはそのパートさんが住民税を払うほどには所得を得ていないためです。所得がいくらから住民税は発生するのか。パートなら誰でも気になるところです。住民税の課税方法について、詳しく見ていきましょう。

まず、住民税には所得割と均等割のふたつの種類があります。所得割は稼いだ所得の10%が税額となり、均等割は所得額に関係なく一律5,000円/年です(一部地域を除く)。

所得割と均等割では、住民税を払わなくていい所得のラインが変わることがあります。順番に確認していきましょう。

最初は所得割についてです。住民税の所得割は所得が35万円を超えると発生します。逆に言うと、所得が35万円以下であれば住民税はかかりません。パートのように給与による所得を得ている人は、収入から65万円を引いたものが所得になります。つまり、年収が100万円以下であれば、次の例が示すように住民税はかからないことになります。

住民税が非課税になる収入と所得の例
  • (収入)100万円-(給与所得控除)65万円=所得(35万円)
  • (収入)90万円-(給与所得控除)65万円=所得(25万円)
  • (収入)80万円-(給与所得控除)65万円=所得(15万円)

均等割の下限所得は住む場所で違う

所得割は所得が35万円以下であれば住民税はかかりませんでした。均等割では、この住民税がかからない所得のラインが35万円、31.5万円、28万円と3つに設定されています。自分がどの設定に該当するのかは、住んでいる場所によって決まります。

たとえば均等割の下限所得が31.5万円の地域に住んでいたとします。年収が98万円だった場合の住民税を考えてみましょう。

  • 所得割:(収入)98万円-(給与所得控除)65万円=所得(33万円)→0円
  • 均等割:(収入)98万円-(給与所得控除)65万円=所得(33万円)→5,000円

所得が均等割の下限所得として設定されている31.5万円を超えてしまうので、一律5,000円の均等割が課税されることになります。

この均等割の下限所得は、住居費の高い都心部であれば35万円、住居費の低い地方は31.5万円または28万円に設定される傾向にあります。正式な金額はそれぞれの市区町村に確認してください。

よく見かけるもので、住民税を払わなくていい人の例としてパートの年収を100万円と紹介しているケースがありますが、これは東京23区などの都心部に住んでいる場合です。場所によっては年収100万円かそれ以下であっても所得割が発生することがありますので、注意しましょう。

執筆者

鈴木玲(ファイナンシャルプランナー/住宅ローンアドバイザー)

出版社、Webメディアで企画・制作を手掛けたのちに、メディアプランナーとして独立。それまで無関心だった社会保険や税金、資産運用に目覚める。主に若年層に対して社会の仕組みやお金の役割について経験をもとに、わかりやすく伝える。

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