確定申告と言えば、リミットは3月15日まで。一度でも確定申告をした人なら、この日付を覚えている人も多いでしょう。期日にあわせてしっかり申告の準備をしていたつもりでも、不測の事態で期日に間に合わないケースがないとは言えません。確定申告が期日内に終わらなかったら、いったいどうなってしまうのでしょうか。
間に合わなくても、お咎めなしで終わるケースはある?
本来の期日を過ぎてから行う確定申告を「期限後申告」と言います。期限後申告となることで考えられるリスクはふたつあります。「無申告加算税」と「延滞税」が発生することです。
このうち、延滞税は原則免除されることはありませんが、無申告加算税は次に示す条件のすべてを満たせばお咎めなしです。
- 期限後申告が、申告期限から1月以内に自主的に行われていること。
- 期限内申告をする意思があったと認められる一定の場合に該当すること。
「意思があったと認められる」場合というのが分かりづらいですが、具体的には期限後申告書を提出する日に全額納税を終えること、過去5年以内に無申告課税の罰則を受けたことがないことの両方を満たしているときになります。
これまで確定申告に遅れたことがなく、今回たまたま期限後申告になってしまったけれど、税金は申告日に全額払うという人は、無申告加算税を免れることになります。
ただし、その場合でも延滞税はかかります。延滞税の金額と無申告課税が科されるケースは次の章で詳しく説明します。
間に合わないときのペナルティ
延滞税の計算
期限後申告となったときに発生する「延滞税」は次の計算式によって算出します。
(納付すべき税金の額×延滞税の割合×日数)÷365(日)
このうち延滞税の割合は2ヵ月以内と2ヵ月を超えるかで税の割合が異なります。令和4年の数値は次の通りです。
延滞期間 | 延滞税の割合 |
2ヵ月以内 | 2.4% |
2ヵ月超 | 8.7% |
下記は国税庁のサイトで説明されている延滞税の計算式です。端数の切捨て箇所などを確認してください。
無申告課税の計算
前章で無申告課税が免除されるケースを説明しました。ここでは免除の条件を満たさなかったときに、どれくらい課税されてしまうのか、その計算方法を解説します。
無申告課税の金額は、納付すべき税額に対する割合で決まります。
納付すべき税額 | 無申告課税の割合 |
50万円まで | 15% |
50万円超 | 20% |
無申告課税はペナルティの側面が強いため、延滞税に比べて割合が高く、最終的な金額も大きくなります。確定申告が間に合わなかった場合でも無申告課税のペナルティを受けないように、申告期限から1月以内に自主的に期限後申告を行うようにしましょう。
1月以内の期限後申告が間に合わなかった場合でも税務署の調査を受ける前に、自主的に期限後申告をしていれば、この無申告加算税の割合は5%に軽減されます。最後まで自主的な申告をすることを目指しましょう。
確定申告で税金が戻ってくるときの扱いは?
ここまで確定申告に間に合わないことでどんな不利益があるのかを説明してきましたが、これは確定申告によって所得税を納める人を想定したものです。なかには確定申告をすることで源泉徴収されていた税金が戻ってくる人もいるでしょう。ここでは確定申告で税金が還付される人が期限に間に合わなかったらどうなるのか、を説明します。
確定申告義務のない人が、納めすぎていた税金を戻すための手続きは、確定申告ではなく「還付申告」と言います。確定申告と同じフォーマットを利用するため確定申告と思われがちですが、正しくは還付申告です。
そして、還付申告の場合、確定申告とは申請期日に関する事情が大きくことなります。還付申告は、確定申告の期限に関係なく、対象となる年の翌年1月1日から5年間まで申請できます。つまり確定申告の期限である3月15日を過ぎても(5年以内であれば)問題なく手続きは行えることになります。
ただし、個人事業主などで確定申告をしないと所得が確定しない人は税金が戻ってくる場合であっても確定申告の期限内に申告を終えておきましょう。理由は住民税があるからです。住民税の金額は所得によって決まります。確定申告をしない場合、各市区町村へ住民税のためだけに所得の申告をすることになります。この期限は確定申告の期限と合わせてあることがほとんどです。また申告する内容も確定申告と同じですので、確定申告を行い所得を確定確定させ、その一連の手続きを通して還付金も受け取るほうが一度の手続きですべてが完了するためスムーズです。
確定申告はいつまで。2022年の申告を確認
2021年度の所得に対して行う確定申告の期限は2022年2月16日(水)から2022年3月15日(火)までです。
また、還付申告は2022年1月1日(土)から2026年12月31日(木)までになります。