この記事は、20歳前後ではじめてアルバイトをする人に向けて、アルバイトをしたときの所得税を説明する記事です。社会に出て働いている間はずっと役に立つであろう所得税の基本知識を、ゆっくりとていねいに説明していきます。
アルバイトでも所得税を払う?所得税の決め方
アルバイトでも所得税を払うのかどうか。この線引きは、1年間でいくら所得があったかで決まります。大半のケースで、1年のバイト代が103万円を超えていたら所得税はかかるもの、と考えてください。
「103万円を超えて働くと税金が引かれるのでかえって手取りが少なくなる」と考えてしまう人もいるようです。これは誤解です。税金がかかるのは103万円を超えた部分に対してです。1年のバイト代が103万円と105万円のときの手取りの違いを確認してみましょう。
1年間のバイト代 | 所得税 | 手取り額 |
103万円 | 0円 | 103万円 |
105万円 | 1,000円 | 104.9万円 |
※社会保険料等はないものとしています。
働き損になるからバイトは103万円までに抑えようというのは、正しい考え方とは言えません。
所得税の税率は何パーセント?
1年のバイト代が103万円を超えているときの所得税の税率は5パーセントです。所得が増えるにつれ税率は高くなるので、生涯ずっとこの税率ということはないでしょうが、アルバイトとして働いているなら5パーセントに該当すると考えてほぼ大丈夫でしょう。
前述のとおり、103万円までは税金がかかりませんので計算式としては【(1年のバイト代-103万円)×5%】が所得税になります。いくつか例を上げてみましょう。
1年のバイト代 | 所得税 | 手取り額 |
100万円 | 0円 | 100万円 |
110万円 | 3,500円 | 109.65万円 |
120万円 | 8,500円 | 119.15万円 |
130万円 | 13,500円 | 128.65万円 |
※社会保険料等はないものとしています。
バイトでも年に200万円、300万円と稼ぐような場合は、勤め先で社会保険に加入している可能性が高くなります。社会保険に加入していると複雑な計算が必要となるため、この計算式は使えません。
給与から引かれた所得税はどこへ行った?
繰り返しますが、所得税がかかるかどうかは1年間(1月1日から12月31日まで)のバイト代で(ほぼ)決まります。
しかし所得税の徴収、いわゆる給与からの天引きは1年間のバイト代が決定する前、具体的には給与が支払われるタイミングで行われています。
これでは「1年のバイト代が103万円を超えていたら所得税はかかる」というルールが有名無実化しているかのようが、もちろんそんなはずはありません。ケースタディで考えてみましょう。
所得税の天引きがないケースもある
すべてのアルバイトが所得税を天引きされるわけではありません。1日または1カ月の給与が、1年のバイト代に換算したときに103万円を超えそうにない額であれば、天引きはされない仕組みになっています。ほかにも雇用契約の期間が2カ月以内のような短期バイトでは、単純に1年換算をすることはないので、一定額を稼いでも天引きはされません。
天引きされた所得税が戻るケースがある
1日または1カ月の給与で、1年のバイト代が103万円を超えそうであったとしても、最終的に103万円まで届かないケースも十分に考えられます。月によって給与にばらつきがある、数カ月間だけ短期バイトをした、バイトを年の途中で辞めた、といった場合などです。こうしたケースでは1年のバイト代が103万円を超えないのであれば、天引きされた税金は全額戻ってきます。
ただし、自動的に戻ってくるわけではなく、所定の手続きが必要です。同じ会社で働き続けているなら年末調整で、転職または退職しているなら確定申告で税金を戻す手続きをします。
1年間のバイト代はいつ分かる?
シフト勤務が多いアルバイトは月のバイト代に凹凸があります。給与明細をしっかり保管していなければ、1年間でいったいいくら稼いだか、源泉徴収をされた月があったのかどうかを把握できていないケースも考えられます。
そのようなときに確認する書類が「給与所得の源泉徴収票」です。通常その年の最後の給料日に明細書と一緒に渡されることが多く、そこには1年間のバイト代と天引きされた金額も記載されています。
1年のバイト代が103万円を超えているかどうか、天引きはいくらあったのか。1年の最後に自分の目でも確認するようにしましょう。