厚生年金保険料。「木苺」を使えば簡単に分かってしまう

2019-10-23

 厚生年金の保険料は給与や賞与をもらうたびに支払っている。社会保険料のなかでも徴収額が一番高いのが厚生年金だ。 毎月明細をしっかり見ている人なら知っているよね。この記事ではその額がどうやってきまっているかを解説するよ。

9.15%、9.15%、9.15%を3回唱えておぼえよう。

 キミが負担している厚生年金の負担額は給与や賞与の額と連動している。だいたいの金額を知りたい、という人であれば、給与や賞与の額に9.15%をかけてみよう。

 たとえば254,139円×9.15%=23,253円(端数切捨て)といった具合だ。正確な額ではないけれだいたいこんなものだ。

 9.15%という数値は正確な額を知るうえでも変わらず使うものなので、まずはこの「9.15%」を覚えてしまおう。きゅういちご、キュイチゴ、キイチゴ、木苺かな。

 厚生年金の保険料は給与と賞与で計算式が別々に用意されている。また、健康保険や雇用保険と違って職種や会社、加入組合を問わず皆が同じ計算式を使うよ。

賞与の厚生年金保険料の計算はカンタン。

 キミは年に何回賞与をもらっている?厚生年金では年3回以下のものを賞与とし扱うことになっている(年に4回以上出る賞与は厚生年金の計算上は給与と同じ扱いになるんだ)。

 賞与の計算を先に紹介するのは計算式が簡単だからだ。

 賞与は報酬の千円未満を切り捨てて、その額を×9.15%すればいい。上で紹介した254,149円を例にすると以下のようになる。

 254,000円(千円未満切り捨て)×9.15%=23,241円

 一度の賞与が150万円を超える(うらやましい!)人にはおまけもある。厚生年金は一度の賞与の額が150万円を超えた部分の保険料はかからないんだ。どんなにたくさん賞与をもらっても1,500,000円×9.15%=137,250円が賞与1回で払う保険料の上限だ。

 たとえば100万円の賞与が年に2回あったら厚生年金保険料は100万円×9.15%×2回=183,000円だけど、200万円の賞与が年1回なら137,250円になる。

給与の厚生年金保険料の計算はグレードで考える。

 給与の計算は賞与より少しだけ手間がかかる。これは給与を額に応じてカテゴリー分けしてその代表値を計算に使うからだ。例を見るとわかりやすいかな。

給与額代表値
210,000~230,000220,000
230,000~250,000240,000
250,000~270,000260,000

 このようなカテゴリーが全部で31あるんだ。このカテゴリーのことを等級と呼んでいる。給与の厚生年金の保険料を計算するうえでは報酬が210,000の人も220,000円の人も230,000円の人も一律220,000円で扱われるんだ。

 再び254,149円を例にしてみよう。254,149円の代表値は260,000円だね。この代表値が計算には使われる。

 260,000円×9.15%=23,790円。これが給与の厚生年金保険料だ。

 代表値は日本年金機構のHPで確認するといいだろう。

 給与も一定額を超えた部分については保険料がかからない仕組みだ。605,000円を超えると一律620,000×9.15%=56,730円が厚生年金の保険料になる。

厚生年金保険料の計算で登場する専門用語。

 厚生年金保険料を計算するにあたり、いくつか特徴的な言葉が出てくる。これはだいたいの保険料を計算するだけなら無理に覚えなくても大丈夫な内容だ。

報酬

 ここまで計算には給与や賞与の額をそのまま使ってきたが、厚生年金保険料の計算に使われる数値は必ずしも給与や賞与の額とは一致しない。この計算に使われる数値は「報酬」に該当するお金の総額だ。

 報酬に含まれるものは基本給のほかに手当がある。通勤手当や役職手当のことだ。日本年金機構のHPで報酬に含まれるものとしていくつか例があげられているので確認してみよう。

日本年金機構ホームページより

基本給のほか、能率給、奨励給、役付手当、職階手当、特別勤務手当、勤務地手当、物価手当、日直手当、宿直手当、家族手当、休職手当、通勤手当、住宅手当、別居手当、早出残業手当、継続支給する見舞金等、事業所から現金又は現物で支給されるものを指します。

 たいがいのものは含まれると考えてよさそうだね。

 反対に報酬に含まれないものとして、退職手当、内職収入、財産収入、出張旅費、赴任旅費、見舞金、結婚祝い金、餞別金、大入袋などが主なものとされているよ。

標準賞与額

標準賞与額は賞与の厚生年金保険料を計算するときに使用する数値だ。賞与報酬の千円未満を切り捨てたものが標準賞与額になる。

(例)賞与報酬が254,149円のときの標準賞与額は245,000円。

標準月額報酬

標準月額報酬は給与の厚生年金保険料を計算するときに「代表値」と呼んだもののことだ。標準報酬月額は、1等級(8万8千円)から31等級(62万円)までの31等級に分かれている。

(例)給与報酬が254,149円のときの標準月額報酬は260,000円

 標準月額報酬は毎月の給料のたびに計算されるわけではない。もっとも一般的な定時決定では、4月から6月の報酬の平均を計算し、そこで出された標準月額報酬をその年の10月から9月まで適用している。4月から6月にかけて、ほかの月よりもたくさん働いて報酬が増えていると標準月額報酬がそのラインで設定されてしまうので健康保険料は多めに徴収されてしまう。

執筆者紹介

鈴木玲
ファイナンシャルプランナー

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