パートだから社会保険に加入したくない。【2019年の条件は?】

2019-10-04

 パートさんにはいろいろ事情がある。「パート先の社会保険に入りたくない」もそのひとつ。時代はパートを社会保険へ入らせようと躍起になっていてニュースでもこの話題はよく取り上げられる。実際、パートの社会保険への加入条件はここ数年で目まぐるしく変わっているんだ。少し先の未来を見据えて情報を常にアップデートしておこう。

社会保険に加入しないパートはいない?

 20歳以上の人がただ「入りたくない」という理由で社会保険(医療保険と公的年金)を免除されることはない。パートでもアルバイトでも、たとえ働いていなくても社会保険への加入は義務になっている。だからパートで働く人の「社会保険に入りたくない」はよく耳にする言葉だけど正確じゃない。社会保険に入らないのではなく、どの社会保険に入るかが大事なんだ。

 「パート先の社会保険に入りたくない」のは、配偶者の保険組合に入っていて(扶養されていて)そこから抜けたくないパートさんだ。言い方をラフにすると「夫(または妻)が自分の健康保険と年金を払ってくれているのでそこを飛び出すほどには働かないよ」ということ。もし配偶者の保険から抜けてしまったら自分で社会保険に入ることになる。保険料を自分でも払うということだ。パートさんはこれを避けたいんだね。そのためにはパートとしての働き方を吟味しなければならない。

うっかり配偶者の被扶養者認定から外れないこと。

 配偶者が加入している保険組合の被扶養者から外れたくないなら、まずはその保険組合が定める被扶養者の認定条件を確認する必要があるよね。認定条件で特に有名なのは「年間収入が130万円未満」であることだ。「130万円の壁」と呼ばれたりもする。年間収入には交通費などの手当ても含まれるよ。保険組合によってはさらに「連続する3か月の平均収入月額が108,334円未満であること」や「扶養認定から引き続く12ヵ月どこをとっても130万円未満であること」といった追加の条件を設けているところもある。「130万円未満」以外の条件の有無は保険組合に個別に確認をとるほかない。

うっかりパート先で社会保険の加入条件を満たさないこと。

 保険組合の定める被扶養者の認定条件をクリアしていさえすれば安心、ではない。働き方によってはパート先の社会保険に入らなければならないことになる。収入条件はこちらのほうが低い金額に設定されているので注意が必要だ。パート先で社会保険に入る条件を満たしてしまったら「私はダンナのほうの保険に入っているんで(入らなくて)いいですー」は通らない。だからパート先で社会保険に入らない条件を確認するのはとても重要なんだ。詳しくみてみよう。パート先の環境によって条件が変わる点にも気をつけて。

勤め先が会社または地方公共団体に属する場合。

 パートでも1週間の所定労働時間が一般社員の3/4以上で、1カ月の所定労働日数が一般社員の3/4以上あると、一発で社会保険への加入が決まる。そもそもこの条件で働いたら「年間収入が130万円未満」の壁も突破してしまうだろう。

 パート先の社会保険に入りたくないけど、ぎりぎりのところまで働いてお金を得たい人は以下の条件を満たしてはいけないよ。勤め先の従業員が501人以上かそれ以下で労働時間に違いがある点に気を付けて確認してみよう。

勤め先の従業員数が501人以上

・ 週所定労働時間が20時間以上ある。
・ 月額賃金8.8万円以上ある。
・ 1年以上の使用見込みがある。
・ 学生等でない。

勤め先の従業員数が500人以下

・ 週所定労働時間が30時間以上ある。
・ 月額賃金8.8万円以上ある。
・ 1年以上の使用見込みがある。
・ 学生等でない 。

 勤め先の従業員数が500人以下でも労使合意があるところでは週所定労働時間が20時間以上で社会保険への加入が必要になる。これは勤め先に聞いて確認しておこう。

 2019年9月、厚生労働省の有識者会議は厚生年金のパートへの適用拡大に向け、加入要件にある従業員数を「501人以上」から引き下げるべきだとの報告書をまとめている 。今は従業員500人以下の会社に勤めていてパート先の社会保険に入らない働き方ができている人も、近い将来501人以上の会社でパートをしている人と同じ条件で加入を義務づけられる日は、もうすぐそこまで来ている。

勤め先が個人事業所の場合。

 会社以外にも働く場所はあるよね。個人事務所や自営業のお店だ。たとえば弁護士事務所や税理士事務所などの士業は有名だ。個人経営の飲食店や美容院などの接客サービス業も数は多い。農業や畜産業なども個人でやっているところは多いね。会社と区別するためにこうした勤め先は「個人事業所」と呼ぶことにしよう。個人事務所でも以下に該当する職場では会社(勤め先の従業員数が500人以下の場合)と同じく4つの条件(週所定労働時間が30時間以上ある。/月額賃金8.8万円以上ある。/1年以上の使用見込みがある。/学生等でない)を満たしてしまうと社会保険への加入が義務になるよ。

勤め先の従業員数が常時5人いる次の業種の個人事業所

1. 物の製造、加工、選別、包装、修理又は解体の事業
2. 土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊、解体又はその準備の事業
3. 鉱物の採掘又は採取の事業
4. 電気又は動力の発生、伝導又は供給の事業
5. 貨物又は旅客の運送の事業
6. 貨物積卸しの事業
7. 焼却、清掃又はとさつの事業
8. 物の販売又は配給の事業
9. 金融又は保険の事業
10. 物の保管又は賃貸の事業
11. 媒介周旋の事業
12. 集金、案内又は広告の事業
13. 教育、研究又は調査の事業
14. 疾病の治療、助産その他医療の事業
15. 通信又は報道の事業
16. 社会福祉法に定める社会福祉事業及び更生保護事業法に定める更生保護事業

 上の業種で従業員数が常時5人未満、もしくは当てはまらない仕事をする個人事業所(従業員数は問われない)でパートをしているなら、その職場には社会保険がない可能性がある。パート先で社会保険に入れないときは配偶者が加入している保険組合の被扶養者の条件から外れないことを注意すればいい。

失業したときの心強い味方「雇用保険」。

 社会保険を広い意味でとらえると雇用保険と労災保険も入ってくる。パート先の社会保険に入りたくない人はこのふたつをどう考えればいいのだろうか。まずは雇用保険から説明しよう。

 医療保険や公的年金は配偶者の保険組合が負担してくれるが、雇用保険に扶養の考え方はない。だから被扶養者から外れるという懸念は不要だ(そもそも入れていないので)。シンプルに雇用保険に入るメリットとデメリットだけを考えればいいだろう。デメリットは保険料の負担だが、収入の0.3%が給料から天引きされることになる。収入が15万円であれば450円だ。メリットは失業したときにおカネがもらえたり育休の取得ができたりする。とくに失業給付は大きなメリットだ。保険料負担もそれほど高くはないから天秤にかけて加入しておきたい、と思う人も多いだろう。

 パートが雇用保険に入るのは31日以上の雇用見込みがあり、週20時間以上働いている場合だ。医療保険や公的年金のときの条件に比べて加入条件は緩やかだから、雇用保険だけは入っておくということも可能だ。

雇い主が全額負担で保障も充実「労災保険」。

 労災保険は雇用保険よりさらに加入条件が緩やかで、パートとして勤めるならほぼ無条件で加入することになる。労災保険も配偶者の保険組合から扶養されるものではないので、パート先で加入しても問題は生じない。

 労災保険は保険料は全額事業者が負担するので、給料から天引きされることもない。入っていることを忘れてしまいそうだが、仕事中や通勤途中に事故・ケガに備える大切な保険だ。契約期間や労働時間にかかわらず原則すべてのパートを労災保険に加入させなければならない義務が雇い主にはある。

 例外として5人未満の労働者を使用する個人事業の農林水産があるのでこの条件に該当する職場でパートをしている人は労災保険の加入の有無を確認しておこう。

執筆者紹介

鈴木玲
ファイナンシャルプランナー

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