みんなはどうしてる?学生納付特例制度の利用率は6割超!

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国民年金は20歳から加入します。年金給付のメインともいえる老齢給付は65歳からなので、加入してからの約40年間は保険料を払うことだけに専念する期間です(障害給付、遺族給付はこの限りではありません)。

大学生の場合、20歳になるタイミングが在学中になることも多く、学生のときから払うべきか、悩む人も多いかもしれません。というのも学生の間は国民年金の支払いが猶予される制度があるからです。その制度とは「学生納付特例制度」です。この制度を利用している学生はどれくらいいるのでしょうか。制度を利用するための手続き方法や、制度利用の注意点などを確認しましょう。

学生納付特例制度の利用率

厚生労働省の調べによると、学生納付特例制度の利用率は65.3%となっています(厚生労働省:「平成29年国民年金被保険者実態調査結果の概要」)。学生のおよそ3人に2人が利用している計算です。

これとは別に在学中から納付をしている学生が23.0%いますので、9割近くの学生は国民年金に対して適切な対応をしていることになります。逆に1割ほどの学生は納付もせず、この特例も利用せず、ただ国民年金を滞納していることになります。あなたがもし学生ならこの1割のなかに入らないように注意すべきです。

制度の利用手続き

利用率65.3%にもなる学生納付特例制度ですが、利用のための手続きはどうなっているのでしょうか。

まず、20歳になると日本年金機構から「国民年金の加入と保険料のご案内」が送られてきます。この中に学生納付特例制度の申請書が同封されています。申請書に必要事項を記入し、役所の国民年金担当窓口へ提出します。このとき学生証を持参するようにしましょう。申請手続きの代行事務の指定を受けている学校であれば、学校で申請証の提出等を済ませることができます。

申請は、申請時点の2年1カ月前の月分まで遡って行えます。現時点で未納状態を続けている学生も後から申請できますので、期限内に必ず手続きを終えるようにしましょう。

制度はいつまで利用できる?

学生納付特例制度は在学中のみ、つまり卒業するまで利用できます。対称となる学生の範囲は広く、いわゆる大学(大学院)や短期大学のみならず夜間・定時制課程や通信制課程の方も含まれます。

制度利用の申請が年度単位で3月までとなっているため、人によっては卒業までの間に複数回申請をすることになります。また前述のとおり、申請は、申請時点の2年1カ月前の月分まで遡って行えるので、卒業後に手続きをすることも可能です。

猶予期間が終わったら何をする?

学生納付特例制度は国民年金の納付が一定期間猶予される制度です。この期間中の納付をしなくてよい、というものではありません。

学校を卒業し、制度の利用が終了したら納付を猶予された期間分の年金保険料を払いましょう。これを「追納」と言います。

学生納付特例制度によって猶予された保険料の追納は過去10年以内まで認められています。この間に保険料を追納することで、将来の年金額が減ることなく正規の分で受け取れます。

10年と長い期間がありますが、特例の承認を受けた期間の翌年度から起算して、3年度目以降に追納する場合は、当時の保険料額に経過期間に応じた加算額が上乗せされます。経年数が多くなれば、それだけ加算額が大きくなるので(10年前の分で約4%加算)、できるだけ速やかに納付を終えるようにしましょう。

国民年金を追納しないデメリット

学生納付特例制度によって猶予された保険料を追納しないと、その分将来受け取る年金が少なくなります。

具体的な例で考えてみましょう。2020年12月現在で、国民年金の老齢基礎年金は1年間満額で781,700円です。満額とは国民年金の保険料を480カ間すべて納めた場合の給付額のことです。

たとえば学生であった20カ月分を追納せずにいたとします。その場合、781,700円×460ヵ月/480カ月で給付額を計算しますので、1年間の年金額は749,100円(100円未満四捨五入)になります。満額時より32,600円少なくなる計算です。

現在の毎月の保険料が16,540円ですから、年金受給期間が11年目を過ぎたら収支上はマイナスになります。

制度を利用せず、親に払ってもらう方法も

学生納付特例制度は納付を猶予してもらうだけではなく、追納までをセットで考えて利用すべき制度です。

手続きや追納の手間を考えたら、学生期間中の国民年金は親が払う、という家庭も少なくありません。その場合は親の所得から子どもの国民年金として払った保険料を控除することができます。親の節税につながりますので、親子で連携して保険料を支払うことも検討してみてはいかがでしょうか。