社会保険とは。参考書にはのっていない社会保険の「きほん」

2019-06-18

お互い様と向き合うふたり

 社会保険は日本で働き生活をする人が半ば強制的に加入を義務付けられている制度だ。まずここが引っかかる。なぜ強制?いくら取られるの?この気持ちはすごく正しい。社会保険を理解する重要な問題提起でさえある。ただ、今はその疑問をぐっと胸の内にしまっておいてほしい。社会保険を最短でわかりやすく理解するためには違ったアプローチが有効だからだ。

このページで想定する読者は主に会社員(契約社員やアルバイトも含む)として常時雇用され報酬を得ている人です。また勤め先のことを総称として「会社」と表現しています。

社会保険の種類は暗記しない

 社会保険を種類分けすると5つの保険になる。「社会保険」はそれら5つの保険をひっくるめた総称だ。だからほとんどの教科書は最初に5つの保険の名前を覚えるところから勉強を始める。

 「健康保険」「介護保険」「労災保険」……。ブルブルっ。難し気な単語はそれだけで気が滅入る。保険とはつまり何かに対する備えだ。何に備えているのか?を考えると具体的でイメージがわきやすい。日本の社会保険は次のことに備えている。

  • 病気やケガ
  • 介護
  • 仕事中の事故
  • 失業
  • 老後の生活保障
  • 障害
  • 死亡

 生まれるやいなや必要な備えがある。仕事と深くつながっている備えがある。齢を重ねてから関わってくる備えがある。まずはこの備えを頭のなかで何度もリフレインしよう。

 ではここで問題。「障害」に備える社会保険が何かわかるかな?障害保険というのはないよ。

 答えは厚生年金保険だ(※ただし業務事故が原因の場合は労災保険も備えになる)。 多くの人にとって厚生年金保険は老後の備えをイメージするだろう。でも実際にはそれだけじゃなく障害や家族の死亡に対する備えにもなっている。保険の名前がかえって見落としを生む原因になってしまう可能性があるんだ。だから保険の名前を丸暗記する勉強法は間違いだと思っている。まずは備えありきだよ。

病気やケガへの備え 健康保険
介護への備え 介護保険
仕事中の事故への備え 労災保険
失業への備え 雇用保険
老後の生活保障への備え 厚生年金保険
障害への備え 厚生年金保険
家族の死亡への備え 厚生年金保険

社会保険の中身は覚えない

 一般に社会保険の勉強は保険ごとの加入条件や払う金額(=保険料)、もらえる金額や手続き方法を深堀りして理解していく。おカネの専門家でもない人が、いつもらうかも定かでない社会保険についてどの程度調べられるだろうか。少なくともワタシなら途中で投げ出しそうだ。

 保険が必要になるときは切羽詰まっているときが多く、じっくり調べている余裕がないことも想定できる。「仕事中にケガをして会社を1週間休まなければいけなくなった」「急性胃腸炎で病院に運ばれた」「会社を辞めた」「父親が亡くなった」などなど。社会保険を名前だけで憶えているといざというときに保険を利用できることに思いいたらない可能性がある。社会保険を「備え」で覚えておくことは社会保険の利用へと思いいたる気づきとなる。思いいたりさえすればキミがその中身をすべて理解している必要はない。その道のプロに聞けばいい。幸い社会保険は公的機関が問い合わせ窓口になっているので質問もしやすい。

 各保険で公の問い合わせ先は次のとおり。

健康保険 各健康保険組合、協会けんぽ、共済組合の都道府県支部。健康保険証に加盟保険組合(協会・共済)の電話番号が記載されていることが多い。
公的介護保険 市区町村。役所の代表番号に電話すれば担当部署へつないでくれる。
労災保険 都道府県労働局または近所の労働基準監督署。どちらもインターネットで調べられる。
雇用保険 都道府県労働局または近所のハローワーク。 どちらもインターネットで調べられる。
厚生年金保険 日本年金機構または近所の年金事務所。 どちらもインターネットで調べられる。

 保険で大事なのは条件を覚えることよりも必要なときに利用できることだ。

給与明細と社会保険

 社会保険について記憶しない、覚えないと言ったものの実際にはかなり頻繁に、少なくとも月に一度は社会保険と関係を持っている。まさか見ずに捨てたりしてないよね。給与明細のことだよ。

給与明細の例

 社会保険は控除の項目にある。「介護保険」が0円になっているね。介護保険の保険料は40歳から負担が始まる。この給与明細の持ち主の年齢はそれ以下ということだ。「労災保険」の項目がない。労災保険の保険料は全額会社負担だ。つまりキミは保険料を払わずして保険に加入できている。保険料にばらつきがある。これは大事なポイントだ。保険料の違いがもたらすものは何だろう?保険サービス?

 ここまで疑問を感じるまでになったならそれぞれの社会保険についてもう少し詳しく知っておくのもいいだろう。

考えてみよう。社会保険の費用対効果。

健康保険とは

労災保険とは

雇用保険とは

厚生年金保険とは

執筆者紹介

鈴木玲
ファイナンシャルプランナー

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