社会保険とは。参考書にはのっていない社会保険の「きほん」

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社会保険は日本で働き、生活をする人が加入を義務付けられている制度です。社会保険を最短でわかりやすく理解するために、他とはちょっと違ったアプローチをしてみます。

このページで想定する読者は主に会社員(契約社員やアルバイトも含む)として常時雇用され報酬を得ている人です。また勤め先のことを総称として「会社」と表現しています。

社会保険の種類は暗記しない。中身を無理に覚えない

社会保険を5つの保険から構成されています。社会保険はそれらの総称なので、社会保険という名前の保険は存在しません。ほとんどの教科書は最初に5つの保険の名前をおぼえるところから勉強が始まります。

「健康保険」「介護保険」「労災保険」……。難し気な単語はそれだけで気が滅入りますね。保険は何かに対する備えです。だから、何に備えているのかを考える方が、保険の名前をおぼえることよりもを優先すべきことです。日本の社会保険が備えるのは主に次のようなことです。

  • 病気やケガ
  • 介護
  • 仕事中の事故
  • 失業
  • 老後の生活保障
  • 障害
  • 死亡

生またらすぐに必要な備えがあります。仕事とつながっている備えもあります。齢を重ねてから関わってくる備えもありますね。

保険の名前から入ると、備えに気が付かないこともあります。たとえば年金。 多くの人にとって年金は老後に備えるものと考えていますが、実際にはそれだけじゃなく障害や家族の死亡に対する備えにもなっています。保険の名前がかえって見落としを生む原因になってしまう可能性もあるんです。だから最初に保険の名前を丸暗記する勉強法は間違いです。何に対する備えがあるのか。ここが重要です。

病気やケガへの備え健康保険
介護への備え介護保険
仕事中の事故への備え労災保険
失業への備え雇用保険
老後の生活保障への備え厚生年金保険
障害への備え厚生年金保険
家族の死亡への備え厚生年金保険

保険が必要になるときは切羽詰まっているときが多く、じっくり調べている余裕がない場合もあります。「仕事中にケガをして会社を1週間休まなければいけなくなった」「急性胃腸炎で病院に運ばれた」「会社を辞めた」「父親が亡くなった」などなど。こうしたケースでも「備え」でおぼえておけば、保険が利用できることに気が付きます。

社会保険の勉強は、保険ごとの加入条件や保険料、給付内容や手続きの仕方を理解することが必要とされています。でも、おカネの専門家でもない人が、いつもらうかも定かでない社会保険について、本気で調べられるものでしょうか。保険利用に思い至りさえすれば、あなたがその中身をすべて理解している必要はありません。その道のプロに聞けばいいのです。幸い社会保険は公的機関が問い合わせ窓口になっているので質問も簡単にできます。

各保険の公の問い合わせ先をまとめてみました。

病気やケガへの備え健康保険各健康保険組合、協会けんぽ、共済組合の都道府県支部。健康保険証に加盟保険組合(協会・共済)の電話番号が記載されていることが多い
介護への備え介護保険市区町村。役所の代表番号に電話すれば担当部署へつないでくれる
仕事中の事故への備え労災保険都道府県労働局または近所の労働基準監督署。どちらもインターネットで調べられる
失業への備え雇用保険都道府県労働局または近所のハローワーク。 どちらもインターネットで調べられる
老後の生活保障への備え厚生年金保険日本年金機構または近所の年金事務所。 どちらもインターネットで調べられる
障害への備え厚生年金保険同上
家族の死亡への備え厚生年金保険同上

保険で大事なのは条件をおぼえることよりも、必要なときに利用できることです。

給与明細でわかる社会保険

社会保険の名前を記憶しない、中身もおぼえないと言ったものの、月に一度は社会保険のことを思い出してほしいときがあります。それは、給与明細を手にしたときです。給与明細には社会保険についての記載が必ずあります。

たとえば「介護保険」が0円になっています。介護保険の保険料は40歳から負担が始まるので、この給与明細の持ち主の年齢は40歳未満ということになります。「労災保険」の項目が見当たりませんね。労災保険の保険料は全額会社が負担します。あなたは保険料を払わずして保険に加入できているんです。

こんなふうに、社会保険に慣れてくると、給与明細を見ただけでも色々と疑問を感じるようになります。そうなると保険への理解は一気に高まります。加入条件や保険料、給付などについて詳しく調べてみましょう。

健康保険とは

労災保険とは

雇用保険とは

厚生年金保険とは

執筆者

鈴木玲(ファイナンシャルプランナー/住宅ローンアドバイザー)

出版社、Webメディアで企画・制作を手掛けたのちに、メディアプランナーとして独立。それまで無関心だった社会保険や税金、資産運用に目覚める。主に若年層に対して社会の仕組みやお金の役割について経験をもとに、わかりやすく伝える。

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