厚生年金保険とは。“戻ってこない”厚生年金保険の「きほん」

2019-06-19

黒板に筆記されたpension fundの文字

  このページでは厚生年金保険の基本を学ぶよ。理解をスムーズにするためキミが払う保険料をギブ、保険のサービス内容をテイクで考えてみるよ。

このページで想定する読者は会社員(契約社員やアルバイトも含む)や公務員として常時雇用され報酬を得ている人です。また勤め先のことを総称として「会社」と表現しています。

もっともギブする社会保険。その金額は?

 キミの厚生年金保険料は給与から天引きされている。月に稼いだおカネ (以下「報酬」と呼ぶよ)の  9%が厚生年金保険料の天引き額の目安だ。報酬が20万円なら1.8万円、30万円なら2.7万円くらいになる。報酬に対する割合で決まるということは報酬が多い人ほど厚生年金保険料の負担も大きくなるということだね。

 ほかの社会保険の天引き額と比べてみよう。健康保険料は報酬の約5%、雇用保険料は約0.3%、労災保険料にいたっては天引き額なしだ。社会保険のなかでキミのギブが最大になっているのが厚生年金保険なんだ。

社会保険の天引き額割合のグラフ

 天引き額にばかり目が奪われがちだけど、社会保険には「保険料の一定割合を会社が負担する」という仕組みがあることも忘れちゃダメだね。厚生年金保険であれば保険料の総額はキミの給料から天引きされている額の2倍。つまり会社がキミのためにキミと同額の厚生年金保険料を払っているんだ。

日本の年金は「戻ってこない」方式。

 日本の年金は賦課(ふか)方式という仕組みを採用している。年金の仕組みすべてを理解するのは簡単ではないが賦課方式は大切だ。様々なところで議論される日本の年金問題をスムーズに読み解くカギにもなる。言葉よりもイメージで把握するようにしよう。

 まず年金を管理する立場になって年金を収入と支出で考える。収入は年金保険料のことだ。年金保険料を支払うのは20歳からおおむね60歳の人たちで「現役世代」という呼ばれ方をする。支出は年金の支給をさす。年金を支給される(もらえる)のは原則65歳以上の人たちだ。賦課方式の年金制度では現役世代が払った年金保険料は65歳以上の年金受給者のもとへとわたる。リアルタイムにだ。

賦課方式のイメージ図

 現役世代からのこんな発言を聞いたことはないだろうか。「このままでは将来払った年金が戻ってこない」。賦課方式はジブンの払った年金保険料はリアルタイムに使われてしまっているものだから数十年後にジブンのもとへ「戻ってくる」という見方自体がそぐわない。「自分の払った年金が戻ってこない」と発言する人は年金を銀行の積み立て定期預金のようにイメージしているのかもしれないが、それは間違いだ。日本の年金は「戻ってこない」賦課方式を採用していることを覚えておこう。

厚生年金でもらえる3タイプのおカネ。

 キミが支払う厚生年金保険料は積み立て定期預金のように将来のジブンに送るおカネではない。これでは保険料を払う意味があやふやになってくる。 (現実にそれができるかはさておき) 「払うのやめちゃおうかな」と思っても不思議ではない。厚生年金保険料をギブすることで、キミはどんな約束をテイクされているのだろう。残念ながら明確で具体的な答えは出せそうにない。それが出せるなら世の中が年金問題で騒ぐこともないだろう。ただヒントはある。今の保険サービスがどうなっているか、だ。今、厚生年金で老後にもらえるおカネ(年金)には次の3つの種類がある。

老齢厚生年金保険料を払った額に応じてもらえるおカネの額が決まる仕組み。会社が払う保険料ももらえるおカネの額に反映されるから会社への感謝を忘れてはいけないよ。一般に年金でもらえるおカネの大半はこの老齢厚生年金が占めていることが多い。だから現役中に稼いだ人は老後の安心度が高まるんだ。
老齢基礎年金(自分のもの)国民年金と同じものと捉えていい。 キミがギブした厚生年金保険料には国民年金保険料が含まれているので当然国民年金分のおカネをテイクできる。もらえるおカネの額は一律で決まっている(稼ぎの多寡は関係なし)。ただし就職前や離職期間中の未納分があるとその分は減らされる。
老齢基礎年金(主に配偶者のもの)厚生年金保険料には配偶者の国民年金保険料も含まれている。ただし配偶者が働いていて自ら厚生年金保険料を支払っているのであればキミの厚生年金保険からテイクするものはなにもない。その場合でもキミの保険料が減ることはない。

 年金で大事なことは何歳からおカネをもらえるのか、とその時もらえる額はいくらになっているか。参考までに2019年現在の情報を記しておこう。権利発生は原則65歳から。もらえる金額は「老齢厚生年金」と「基礎年金」をあわせた平均月額が14.7万円。配偶者がもらえる老齢基礎年金については平均が公表されていないので未納期間がなく満額支給された場合で月額6.4万円だ。

  少なくともキミは厚生年金保険料をギブし続けることで 「年金を受け取る権利」は テイクしていると思っていいだろう。問題はキミが将来をその権利を行使するとき、条件がどうなっているか、だ。

障害時・遺族のための厚生年金保険。

 最後に厚生年金保険には老後にもらえるおカネ以外にもテイクがあるので紹介しておこう。

障害厚生年金 病気やケガによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代も含めて受け取ることができるおカネ。
遺族厚生年金 (厚生年金保険料をギブしていた)亡くなった人によって生計を維持されていた遺族が受け取ることができるおカネ。

 老後にもらえるおカネについてはまだ先のことでも、障害厚生年金、遺族厚生年金については突然の利用があるかもしれない。もし必要になるときがきたら、問い合わせ窓口は日本年金機構にしておけば間違いはないだろう。電話での問い合わせもできるし、全国に300以上ある年金事務所のなかから最寄りの事務所へ直接話を聞きに行くことも可能だ。詳細は日本年金機構のホームページで確認しよう。

執筆者紹介

鈴木玲
ファイナンシャルプランナー

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