このページでは雇用保険の基本を学びます。
このページで想定する読者は主に会社員(契約社員やアルバイトも含む)として常時雇用され報酬を得ている人です。また勤め先のことを総称として「会社」と表現しています。
雇用保険料を2倍払ってくれるヒーロー!
まず、雇用保険の保険料を給与明細を見て確認してみましょう。多くの人は稼いだ給料(以下「報酬」)の0.3%が雇用保険料の金額の目安になります。0.3%でなければ0.4%。今はこのどちらかしかありません。報酬が20万円なら雇用保険料は600円、30万円なら900円です。
雇用保険料は会社も負担します。あなたが天引きされた額と会社負担分の合算が雇用保険料の総額です。たとえば健康保険や厚生年金保険。あなたと会社の負担はほぼ同じ比率(1/2ずつ)です。しかし、雇用保険はあなたが1/3、会社が2/3の比率がスタンダードな割合です。会社のほうがあなたより2倍も多くの保険料を払ってくれているんですね。
失業でもらえるおカネは?
続いては雇用保険の給付を確認しましょう。もっとも有名なのは失業したときの給付金、「求職者給付」でしょう。
まず、1日あたりでもらえる金額の決まり方です。これはすべての人が同じではなく、失業する前の半年間で その人の報酬がどれくらいあったかで決まります(ボーナスは含みません)。 たとえば30歳で失業した人のケースで、1日あたりの給付額を報酬別に算出すると次のようになります。
毎月の報酬(平均) | 1日あたりもらえる額 |
200,000円 | 4,865円 |
300,000円 | 5,918円 |
400,000円 | 6,666円 |
たくさん報酬があった人ほど、多くの給付金が支給されます。これは、たくさん報酬があった人は在職中に多くの雇用保険料を負担していることとも関係があります。
給付金にはもうひとつ大事な視点があります。給付できる日数に制限が設けられていることです。給付日数はいくつかの要素によって決まります。
本人の年齢 | 年齢が高い人ほど上限は伸びる。 |
勤めていた期間 | 期間が長い人ほど上限は伸びる。 |
退職理由 | 倒産・会社都合の解雇の場合、上限は伸びる。 |
上記の組み合わせで決定する上限日数は、最小で90日、最大で330日になります。かなり幅がありますね。
ハローワークで教えてくれること
失業による手当てを受ける際の相談先はハローワークです。ハローワークは全国に500以上ありそれぞれに管轄エリアがあります。相談先は現住所を管轄するハローワークです。厚生労働省のホームページで簡単に探すことができます。
手続きの仕方、書類の書き方などのレクチャーはすべてここで教えてもらいましょう。さらに再就職したときの「就職促進給付」や、再就職を目指して教育訓練に通った場合に費用の一部を負担してもらえる「教育訓練給付」など、求職者給付以外の雇用保険の給付についても知ることができます。
「育休」は雇用保険の給付
最後に雇用保険のサービスのひとつ、有名な育休(育児休業給付)についても触れておきましょう。
育休は権利として会社を休むことができるという点が重要です。今どき育休は妻だけ、夫だけのものではありません。会社は育休を申し出た人の権利を尊重し休むことを認めなければなりません。では、会社はその人が休んでいる期間の給料も支払わなければならないのでしょうか?それが育休?
答えはノーです。休むことは認められる(育児を理由に会社を辞めなくてよい)けど会社は休業中の給料までを払うことはありません。でもそれだと休業期間の家計が大変になりますよね。そこで雇用保険から育児休業給付金という形でお金がもらえることになっているんです。これが育休と呼ばれるものの正体です。
育児休業給付金は育休開始から最初の6ヵ月間は報酬のおよそ67%、子どもが1歳になるまでは50%相当です。育休期間は子どもが1歳になるまでが原則ですが、保育園に入れないなど理由があれば2歳になるまで延長されることもあります。その場合もの給付額は育休前の報酬の50%相当が継続されます。