18歳ではじめる、所得税の独学勉強法

2019-06-18

所得税の勉強法イメージ図

 税理士やFPになる予定はない。役所の税務担当でもない。何事もプロにはプロの、そうでない人にはそうでない人のための勉強法が必要だ。そもそもイチ社会人が必要とする所得税の知識って何だろう?ゴールの設定と独学での勉強法をまとめたよ。

この記事の前提条件や使用する言葉について。このページは会社員(契約社員やアルバイトも含む)や公務員として働き、給与を得ている人を主人公として想定している。彼らを「給与所得者」という言葉でまとめる。

所得税を身につけるロードマップ。

最終ゴール

子どもたちに所得税を教えられるようになる。

プロセス(1):所得税が決まるプロセスをおぼえる。

プロセス(2):所得税の節税テクを実践する。

プロセス(3):副業・投資etc…。所得が給与だけじゃない時代にむけて。

 最終ゴールは「 子どもたちに所得税を教えられるようになる 」に設定した。基礎がわかっていて応用力もある。トレンドにも敏感じゃないと誰かに教えることはできないよね。節税と結び付けるとジブンのこととして理解しやすいので、このページでもそうしているよ。

 ここからはプロセス(1)に取り組んでみよう。

所得税を目撃せよ!

 所得税を知ろうとするなら、まずは自分が払う所得税を見るところからだ。知りたいよね。1年間働いていったいどれくらい税金を払うのか。収入の何%?来年は払った分だけ仕事の手を抜こうか。などと考えてはいけないよ。働いている人が所得税を「目撃する」ことは難しくない。年に一度(年末のところが多い)、勤め先からもらう源泉徴収票に書いてある。ここを見れば、1年間の所得税の額がわかる。

年末調整の見本

 毎月の給与明細にも所得税の項目はあるのでこれも確認ツールとして使える。たとえばこんな感じだ。

給与明細の見本

 自分が払う所得税額は、1年分をまとめてみる源泉徴収表と月ごとの給与明細のふたつで確認できることがわかった。 ただし源泉徴収票も給与明細もここに記載されている所得税額は暫定値であって確定したものではない。なぜそうなるのかは、所得税を学ぶ過程で少しずつ分かってくると思う。現時点では暫定値である、ということが頭の片隅に残っていれば十分だ。

カンタンなのに計算式が覚えられない所得税の不思議。

 さて、せっかく目撃したキミの所得税。節税の仕方によっては源泉徴収票でみた額よりも少なくできる。その場合は払いすぎた分のおカネが戻ってくるよ。所得税の知識は一度覚えると毎年役に立つツワモノだ。ただFPのようなおカネのプロでさえも、所得税は覚えるのに四苦八苦することがある。たとえば所得税の計算式。

 課税所得×所得税率=所得税

 式はシンプルだよね。でも「課税所得」がやっかいそうだ。所得ではなく課税所得。いかにも難しい感じがする。課税所得を辞書で調べたら「所得税の課税対象となる所得」と出てきた。混乱3割増しだ。こんなに簡単な所得税の計算式が記憶に定着しないのは、言葉の意味とその背景をわからずに覚えようとするから。 裏を返せばそこさえクリアできれば理解は一気に進む。ここはプロセル(1)の踏ん張りどころだ。

 所得税は計算式に至るまでのフローが重要だ。図にまとめてみたよ。

所得税計算フロー

 ⑤の「差引税額」が最終的に知りたい所得税の額だ。ところでこの所得税の計算フローとキミの財布の中身は話としてリンクしない。だからこの先しばらくは「手取りいくら」的な考え方はしまっておいてね。

 まずは上図の左側を中心にみていこう。①の「収入」は基本給に残業代や役職手当などの諸手当を加えたもの。働いた対価としてもらうものすべてだ。額としては一番大きくなる。②では「所得」の性質をおぼえよう。所得が何かと問われたら収入から経費をひいたもの、と答えられる。だから所得が年収を上回ることはない。「年収>所得」は絶対だ。③の「課税所得」は所得のうち税金がかかる額、という説明ができる。課税所得は所得税の計算式にも使われている大事なワードだ。そして所得税の計算式を使って④「所得税」を計算する。でもこれで終わりじゃない。⑤で税額控除があればそれを除いた「差引税額」が最終的な所得税の額になる。

 駆け足だったかな。もしすべてを覚えるのが難しいようであれば①~③「収入」「所得」「課税所得」の違いをはっきりさせることに注力してみよう。

視点を変えておぼえる所得税の計算フロー。

 モヤモヤしてる人、いるよね。大丈夫。それが普通だ。少しずつおぼえていこう。今度は図の右側、オレンジ色の部分にフォーカスしてみるね。節税の視点が入ってくるよ。

 ②で登場したのは「経費」。経費とは収入を得るために必要とされる費用のこと。経費が多くなると所得は少なくなる。所得が少なくなると所得税はどうなるかな。そう、少なくなるよね。

 ③は「所得控除」。所得控除は全部で15種類あって…、いやここでの説明はやめておこう。大事なことだけ。所得控除が多くなると課税所得は少なくなる。課税所得が少なくなると…、もちろん所得税は少なくなる。

 整理しておこう。所得税を節税したい場合、何をしたらいいのかを言葉にしてまとめておくよ。

  • 経費を増やして、所得を減らす。
  • 所得控除を増やして、課税所得を減らす。

 経費も所得控除も増やすのは合法的にやらなきゃダメだよ。どっちも詳しくは次のプロセスで学ぼう。このふたつは節税テクそのものだから楽しみにしておいてね。

 ⑤の税額控除も節税テクだがちょっと異色なところがある。それは控除額がそのまま節税額になることだ。税額控除も詳しくは次のプロセスで学んでね。予習として次の問題を考えてみよう。上の図をよくよく眺めれば答えがわかるかも?

Q:所得控除10万円と税額控除10万円。どっちも選べるならキミはどっちを選択する?

所得税率と累進課税制度。

 所得税率についてまだ触れていなかったね。日本では課税所得額が増えるとそれに比例して所得税率がアップする。「おカネいっぱい持ってるんだから、ちょっと多めに税金よこしなよ」税務署は絶対にそんな口の利き方はしないけれど、払う側からしたらこう言われている感覚?この仕組みが「累進課税制度」だ。所得税には便利な速算表があるので紹介しておくね。累進課税制度がよくわかる表だ。はっきり言って数字の羅列だからウッと思う人は飛ばしていいよ。

課税所得金額税額
195万円以下×5%
195万円超 ~ 330万円以下×10% - 97,500円
330万円超 ~ 695万円以下×20% - 427,500円
695万円超 ~ 900万円以下×23% - 636,000円
900万円超 ~ 1,800万円以下×33% - 1,536,000円
1,800万円超 ~ 4,000万円以下×40% - 2,796,000円
4,000万円超×45% - 4,796,000円

まとめ:ゴールへ向けてこの後にすること。

 所得税が決まるプロセス。イメージできたかな。 「収入」「所得」「課税所得」の違いが分かるまでは、面倒でも繰り返し読んでほしい。

 さて、これからの時代、給与だけじゃなくいろいろな形で所得を手にすることが重要になってくる(と思う)。そうなると話がどんどんややこしくなる。なぜなら所得の種類(どうやって所得を手にしたか、その手段によって所得は種類分けされるんだ!)が違うと所得税の計算の仕方も変わってくるから。うーん、少し気が重いね。でも、プロセス(1)で学んだことがベースになることは間違いない。ゴールはまだ先だけど一歩ずつが大切だ。で、次のプロセスは所得税の節税を学ぶこと。ここでは「経費」「所得控除」「税額控除」の意味や役割が大切になる。たとえば会社員と自営業の人では「経費」への熱量がまったく違う。仕組みがそうさせているんだけど、そういうことがわかると社会の見え方も少し変わってくると思うよ。もちろん、ジブンの所得税をしっかり減らすテクをみにつけることも忘れずにね。

執筆者紹介

鈴木玲
ファイナンシャルプランナー

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