似て非なるもの?役割の違いで覚えるとわかりやすい「利率」と「利回り」

2020-06-30

利率と利回り。どちらも%(パーセント)で表すものだ。お金を増やすには数値が大きいに限る。ところで、ある商品の「利率が5%、利回りが3%」と言われたらどうだろう。この商品の特徴が数字をもとに判断できるだろうか。

利率と利回りは明らかに違うものだけど、明確な違いを説明できる人は意外と少ない。実際の金融商品を例に取ると混乱しがちなふたつの言葉の違いはわかりやすくなる。

利率と利回り。根本的な違いは何?

利率と利回りの一番の違いは、利率はお金を増やすためのプロセスで、利回りはその結果を表すもの、という点だ。

利率がない金融商品

利率と利回りの細かい説明をする前に、金融商品の中には利率が存在しない商品もあることを先に紹介しておこう。わかりやすいものでは不動産と株式。このふたつに利率はない。この理由を考えながら、利率についての理解を深めてることにしよう。

そもそも利率は何のためにあるのか。資金の貸借、一般的にはお金の貸し借りをすると、借り手は貸し手に利息(貸借料)を払う。この時、貸し借りした額(元金)に対して支払う利息の額を決めるために使われるのが利率だ。

イメージは「100万円貸します。利率は1年間で2%です。だから1年後に利息を2万円もらいますよ。」という具合だ。

利率は、資金の貸借時に利息を計算するためにある点がポイントだ。不動産や株式に利率がないのは、どちらも資金を貸借するものではないからだ。

一方、資金の貸借が生じる金融商品の代表は銀行への預金。ほかに債券などもある。

利率を使って利息を計算する

繰り返しになるが、利率は利息額を計算するために存在する。計算式で確認してみよう。

利息額=元金×利率

面白いのは利息の計算方法だ。普通、100万円(元金)を貸して利率が年2%なら利息は1年目は2万円、2年目も2万円、3年目も2万円を想像するだろう。これは単利という利息計算方法だ。

一方、複利という計算方法もある。あのアインシュタインが人類最大の発明と称したと言われるのがこの複利だ。どんな仕組みかというと、利率をかける対象の元金に毎年獲得する利息分を加算していくというものだ。先ほどの100万円を例にすると1年目の利息は2万円で変わらないが、2年目は獲得した利息分が足され元金が102万円に増えているので、102万円×2%=2万400円、3年面は元金がさらに104万400円に増え、利息額は104万400円×2%=2万808円になる。

単利の計算

単利で元利合計金額を計算するときは以下の計算式を使用する。

元利合計=元本×(1+年利率×預入期間)

100万円×(1+2%×3年)=106万円

複利の計算

複利で元利合計金額を計算するときは以下の計算式を使用する。

元利合計=元本×(1+年利率)^預入期間

100万円×(1+2%)³=106万1208円

複利は利息がつくタイミングに応じて1年複利、半年複利、1ヵ月複利などがある。利息が早く付けば、時間利息計算時に元金が増えているので、お得感が出る。上の計算式、計算例はでは1年複利を採用した。

利回りとは何か?

ここからは利回りについてだ。利回りはお金が増えた結果を表すもの。お金を増やす手段は利息だけではない。利回りは、1年間で得た(あらゆる形での)収益が投資金額に対しどの程度の割合だったかを示すものだ。

利回りの計算

利回りを算出する基本的な計算式は以下のものだ。

利回り=(収益÷投資額)÷年数×100

せっかくなので年利の説明で使用した100万円の例で利回りを考えてみよう。

まずは単利のケースでの利回りから。収益は3年間分の利息6万円。元金(投資額)は100万円なので、(6万円÷100万円)÷3年×100=2%だ。

一方複利のケースでの利回りは、収益は同6万1208円、元金(投資額)も同じく100万円なので、(6万1208円÷100万円)÷3年×100=2.04%になる。

単利の場合は、利率と利回りが一致したが、複利では利率と利回りは違う数値になった。最初に説明した通り、利率はお金を増やすためのプロセス、利回りはその結果になっている証拠でもある。

また、金融商品には税金や所有コストがかかるものも多い。利回りを計算するときは、そうした分も考慮しなければならない。

債券の利回り

債券は利率と利回りが両方出てくるので、今回の記事にはうってつけの素材だ。

最初に債券の説明をしておこう。債券とは債券の発行者(国や企業など)が投資家からお金を借りる際に発行する借用証書のようなものだ。債券の購入の仕方や利率の設定には様々なバリエーションがある。そのすべてをここで説明するのは難しいので、ここではひとつの例を取り上げて説明しよう。

債券を買うときは、額面100円あたりの価格で表示される。100円のままで買うこともあるし、100円より高いまたは低い価格になることもある。これは発行者や市場が決まることだ。債券の利率は額面金額に対する単利で表示されるのが一般的だ。また、債券には償還期限があり、その期間まで所有していると額面金額で償還される、という特徴がある。

言葉を少し砕いてわかりやすくした事例を作ってみよう。

額面100円の債券が98円で売り出されたので、それを購入した。利率は1%。償還期間は5年だ。このとき儲けになるのは1%の利率で毎年支払われる利息と、購入時(98円)と償還時(100円)の差額分の合計だ。

利息は100円×1%×5年=5円。購入時と償還時の差額は2円。あわせると5年間で7円の儲けを得たことになる。この債券は98円で購入(投資)している。それぞれを利回りの計算式「(収益÷投資額)÷年数×100」に当てはめてみよう。

(7円÷98円)÷5年×100=1.43%(小数点以下第三位を四捨五入)

この債券の利回りは1.43%だ。

利率と利回りのそれぞれの役割がわかりやすい例になっていると思う。

不動産の利回り

不動産投資は長期戦だ。家を買い、それを賃貸に出して収入を得ていく。不動産は取得時ならびに所有時には税金がかかるし、所有期間中にはメンテナンスやリフォーム代も発生する。利回りを計算するときは、こうした経費の存在も考慮しなければならない。

不動産の利回りの計算として一般的に使用されるのは次の計算式だ。

不動産利回り=(年間家賃収入-年間の経費)÷物件の購入価格×100

計算式からも分かるように、1年ごとの収入と経費で計算するので、たとえば空室期間が長かったり、大規模なリフォームをしたりすると、利回りが他の年とは違った数値になることも考えられる。不動産の利回りは単年ではなく、投資を初めてから終えるまでのトータルの期間で見ることで、ようやく評価できるようになるんだ。

株式の利回り

株式で言う利回りとは一般的に配当利回りを指すことが多い。配当とは、会社が稼いだ利益のなかから株主に対して分配されるお金のこと。配当の出し方や金額はそれぞれの会社が決定する。配当をまったく出さない会社もあるし、同じ会社でも出す年と出さない年があったりもする。配当利回りの計算は次のものだ。

配当利回り=1株あたりの年間配当金額÷1株購入価額×100

株式でお金を増やそうとしている人のほとんどは、配当による利益だけではなく、売買の差額(安く買って、高く売る)による儲けも目指している。「100万円で買った株を5年後に120万円で売った。5年間で配当金も5万円手に入ったし、一儲けできた。」といったイメージだ。このイメージを実際の計算式に落とすと次のようになる。

(20万円+5万円)÷100万円÷5年×100=5%

配当利回りは1%に過ぎないが、トータルで見た利回りがここまで数値を伸ばすのは売却益の影響が大きかったからだ。

執筆者紹介

鈴木玲
ファイナンシャルプランナー

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