住民税を払う、払わないはどうやって決まるのでしょうか。生まれたばかりの赤ちゃんは?学生は?20歳になったら納税の義務?住民税の支払いと年齢の関係を整理しましょう。
住民税は「何歳から?」「学生は免除?」は誤解
住民税に関するもっともよくある誤解は、住民税の支払いが年齢で決まるというものと、学生は納税が猶予されるというものです。
これはどちらも正しくありません。住民税の納税に年齢による線引きはありません。学生は住民税の税額において優遇されることはありますが、税金の支払いを猶予されることはありません。
これらはどちらも年金に関することです。住民税の支払い基準とごちゃ混ぜにならないように気をつけましょう。
住民税を払う、払わないは所得で決まる
では、住民税を払う人と払わない人はどうやって決まるのでしょうか。答えは所得があるかどうかです。生まれたばかりの赤ちゃんはこの時点で住民税を支払う必要がないことが分かります。住民税の納税者と年齢を関連付けて考えることは、今この時点からすっぱり止めましょう。
ところで「所得」とは具体的に何を指すのでしょうか?「収入」との違いを説明することはできますか?
税金について考えるとき、所得と収入の違いはかなり重要です。それほど難しいものではありません。収入から経費を引けば所得になります。「収入-経費=所得」という式をイメージすると覚えやすいかもしれません。
たとえばここに収入が同じ1,000万円のAさんとBさんがいたとします。Aさんの経費は1,000万円で、Bさんの経費は100万円としましょう。Aさんは(収入)1,000万円-(経費)1,000万円=(所得)0円なので住民税はかかりません。一方Bさんは(収入)1,000万円-(経費)100万円=(所得)900万円ですから、この所得が住民税を計算する際のスタート地点となります。
繰り返しますが、住民税は(所得税も同様ですが)収入ではなく所得で考えることが大切です。
住民税の内訳と、払う、払わないのボーダーライン
住民税の理解には住民税がどのように構成されているのか、その内訳を知ることが不可欠です。具体的には「所得割」「均等割」です(地域によっては「資産割」も採用しているところがありますが、ここでは割愛します)。一般に住民税とはこの「所得割」と「均等割」の合計額のことを言います。
「所得割」「均等割」では税率が異なります。所得割は「課税所得額×10%」、均等割は一律5,000円というのが最も多くの自治体で採用している税率です。
また住民税は所得が一定以下の場合、税金がかからないことになっていますが、そのラインの設定の仕方が「所得割」「均等割」で少し違っています。詳しく見ていきましょう。
所得割がかからない所得
住民税の所得割は所得が35万円以下の場合はかかりません。パートやアルバイトなどの給与所得者の例で説明すると、年収が100万円以下がこの条件に該当します。100万円の収入から65万円を経費として計上できるからです。
(収入)100万円-(経費)65万円=(所得)35万円なので所得割がかからない、という計算です。
経費65万円は給与所得控除というものです。この額は収入に応じて決められた計算式を使い算出します。個々の納税者が領収書やレシートをかき集めて経費計上するようなことは原則ありません。
均等割がかからない所得
均等割がかからないケースを説明するのは少々厄介です。というのも、住んでいる場所や本人と同一生計配偶者がいるかどうか、扶養親族の数などそれぞれの事情に応じてそのラインが変動するからです。
一例として東京23区に住んでいて、パートで働いている人(会社員の配偶者あり。扶養親族なし)であれば、所得割同様に所得35万円以下であれば、均等割はかかりません。
均等割の非課税所得額を明確にしたい場合は、お住まいの自治体に問い合わせましょう。
住民税の扶養控除と年齢問題
住民税の支払いに納税者の年齢は無関係と説明しましたが、扶養控除を利用する場合においては扶養対象者の年齢が税金に影響を与えることがあります。
扶養控除とは所得控除のひとつです。所得控除とは所得の合計額から一定の金額を差し引くことができる制度です。所得控除された金額は税金の対象から外れることになります。式にすると「所得-所得控除=課税所得」です。所得控除として認められる金額が大きくなればなるほど、課税所得は少なくなるので結果的に納める税金を減らすことができます。そのため所得控除は節税テクニックのひとつとしてよく紹介されます。
扶養控除は子どもや親、親族などを養っているときに利用できる所得控除です。扶養控除できる金額は38万円から58万円で、その額は扶養親族の年齢によって決まります。下の表を確認してください。
扶養親族 | 年齢 | 控除額 |
一般扶養親族 | 16歳以上18歳以下 | 38万円 |
特定扶養親族 | 19歳以上22歳以下 | 63万円 |
成年扶養親族 | 23歳以上69歳以下 | 38万円 |
同居以外の老人扶養親族 | 70歳以上 | 48万円 |
同居の老人扶養親族 | 70歳以上 | 58万円 |
この場合も、住民税を払う本人については何ら年齢に関する決まりはありません。